足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

テクニカルには底値圏続く

2016-01-19 07:52:14 | 投資戦略
相場の大幅安が続くがテクニカル面では売られ過ぎのサインがみられる。
日経平均の対25日移動平均の乖離率が-8.15%と売られ過ぎのゾーンにはいってきた。また同騰落指数も55.9%と下値の抵抗線75%と大きく乖離してきた。通常の調整局面の限界を超えた。
今回の相場下落の理由は中国株、原油価格の下落である。昨年末にはだれもが予想できなかった水準にまで短期間に落ち込んだ。

日経平均は12月の高値から短期間に16%下落した。これまでの経験則からすると10%以上の下落は相場のベアー・マーケット入りを示唆する。
個々の銘柄でみても医薬品株のリード役であった小野薬品(4528)が昨年末比で-18%、そーせいG(4565)が同-22%と大幅安になった。
新年早々の相場の下落は投資家心理に大きな打撃を与えている。
テーマ別にみると下落のけん引役は円安を背景として上昇した輸出関連株で、今回の下落局面では自動車、ハイテク株の下落率が際立つ。
昨日も書いたようにウォール街では慎重論が支配する。今週、米バロンズ誌に掲載された新春座談会で強気論を出したのは参加者9人のうちアビー・コーヘン(ゴールドマン・サックス)のひとりだけであった。
これまで一貫して弱気論を主張してきたフェリック・ズーロフ(ズーロフ・アセット・マネジメント)は「相場は構造的な弱気相場にはいった」とみて、弱気サイクルから抜け出すのにはかなりの時間が必要とみる。
今回の相場の下落をみて一番に心配しているのは、おそらく米連銀のイエレン議長ではないか?
結果論だが今回のような株価の暴落が12月に起こっていたら、政策転換には踏み切らなかったはずである。バロンズ誌の参加者のなかには米連銀の政策転換の逆戻りを早くも予想する向きも出てきた。
来週から米国では2015年12月期の決算発表が始まる。経営者が先行きをどうみるかが大きな注目点になってきた。

バロンズ新春座談会・・・・久しぶり慎重論が支配

2016-01-18 09:45:11 | 投資戦略
今週のバロンズ誌に恒例の新春座談会が掲載された。ちょうど1週間の月曜日であった。
メンバー10人のうち3人が交代し、新しく2人が選ばれた。大幅な入替えは記憶にない。「継続は力なり」の言葉通り頑なに同じメンバーで実施してきた。この座談会の存在感を高めるのに貢献してきたと思う。この種の企画は日本では皆無。合理性を追求するウォール街だらできることだ。これまでのメンバーのうちマーク・ファーバー(「Gloom Boom &Doomを発行)、ビル・グロス(ジャニス・キャピタル/債券投資のバフェトといわれる)、デビッド・ヘロー(オークツリー・ファンド運用者・21世紀の最高運用者とモーニングスター社が格付け)の3人が、新しくジェフェリー・Gundlach(ダブルライン・キャピタル/債券・金利のヘッジファンド)、ウィリアム・プリースト(エポック・インベストメント)と交代した。3人も一度にというのはそれぞれ個人的な理由もあったのだろう。

 まとめると今回の座談会では楽観論はきわめて少ない。最近の恐怖的な株価の動きが理由である。集まった運用者たちは相場の一段の下落を懸念し、ジャンク債問題、地政学リスクを気にした。大統領選ではヒラリー・クリントンの当選を予想した。
大半の相場見通しは年間では横ばいか下落で終わるとみる。一番の強気はアビー・コーヘン(ゴールドマン・サックスの国際部門を統括)で7%上昇であった。
米連銀は7年振りに利上げしたが、これまでいわれてきたあと4回の利上げは不可能になり、市場が先行きの複数回の引き上げは受け入れられないとみる。せいぜいあと1回でも上げれば、その後は政策を転換し逆に緩和を迫られる可能性がる。このようなことが実現すれば連銀に対しての信頼が大きくゆらぐ。しかし株価の乱調が続き、安定しないようなら、連銀も動かざるを得ない。
初参加のGundlachは参加者のなかでもっとも弱気、同じく初参加のプリーストも弱気。ブ
これに同調したのは常連フェリクス・ズーロフ(ズーロフ・アセット・マネジメント)で「この種のスタグフレエーションは向う15~20年間は続く」とこれまでの持論を強調した。彼は世界的に高齢化時代にはいることに大きな懸念をもつ。
座談会での最長老格のマリオ・ギャベリ(ガムコ・インベスターズ会長)は「現時点から年末まで相場は横ばいか小幅高で終わるだろう。中国は通貨の切り下げを続ける。この種の動きは結果として、将来の投資にはプラスに働く。石油の予想外の反騰、大統領選後の選挙公約の減税などの好材料もある。」と相場観は中立的な見方である。
 リーマンショックから立ち直り局面にはいって以来、座談会での見方が今回のように慎重論か支配したのは初めてである。新年の相場展開が、思わぬ方向に進んできたことが、参加者の見方を一層に慎重にさせた。
参加者のオスカー・シェイファー(リブレット・キャピタル)は新進へッジファンドのデビッド・テッパーの「投資には儲ける時と、損を出さないよう心掛ける時がある」ということばを引用して、今年の相場での戦略を説明した。短いが含蓄のあることばである。

ウォール街で弱気が増える

2016-01-16 08:18:18 | 投資戦略
NYダウ平均は大幅安。一時は537ドル安の15,842ドルまで下落したが、引けは390ドル安の15,988ドルで終わった。昨年8月の暴落時の15,666ドルに接近した。
下げのきっかけは中国株の下落と原油安で、これまでの悪材料に大きく反応した。
年初来の相場の下落は2008年のリーマンショック以来の下げで昨年末比10%近い下落になった。CNNMoneyの「恐怖&貪欲指数」(Fear&Greed)も急落し17ポイント。1ヵ月前は18ポイントであった。昨年8月の暴落のときは2ポイントまで下落して相場は底入れした。
中国株は政府の株価対策が全く効を奏せず、この日は銀行が融資を渋り始めたことも懸念材料になった。

ウォール街では先行きの相場観が大きく割れてきた。前日のアビー・コーヘン(ゴールドマン・サックス)の強気コメントに続き、ヘッジファンドの大御所レオン・クーパーマン(オメガ・ファンド)がCNBCのインタービユーに応えて“ここが頑張りどころ”(hang tough)
と投資家に呼びかけた。現在は弱気相場いりでなく「世界景気の鈍化への懸念」での一時的な下落とみる。
理由は①リセッションの兆しはない②株価の割高が解消した③決定的な地政学リスクは発生していない④米連銀は利上げしたが、今後は相場の動きを注視して行動するーとみる。伝説的な運用者ジョン・テンプルトンの「強気相場は悲観のなかで生まれ、不安感の中で上昇し、楽観の中で過熱し、満足感の中で反転する」という言葉を引用し、現在がどこをみても満足感を抱く投資家はいないとした。

一方、好対象なのがローレンス・フィンク(世界最大の投信会社ブラック・ロック会長)で「まだ相場の下落は十分でない。現在の水準から10%は下落するだろう。原油も同じで$25、$24まで下落し、今年前半は痛みの伴う相場展開になるが、一段安のあと回復する。下落が絶好の買い場を提供し、年後半には大きなチャンスが来る」とみる。一代で世界最大の運用会社を築いた成功者である。

このようにウォール街の見方は大きく分かれてきた。
昨日のNY株のトレンドをみて救いは引けにかけて戻したことである。来週の相場は引き続き中国株と原油相場の動きに短期的には左右される。


実績ある投資家が立ち上がる

2016-01-15 06:51:03 | 投資戦略
“Sell everthing? ”(手持ち玉をゼロする?)
“それはまるで呪文のごとき言葉だ!”
波乱相場のなかで著名なアビー・コーヘン(ゴールドマン・サックス)の言葉がウォール街に走った。株価は前日の地合いを引いて寄り後は-76ドルまであったが、コーヘンの言葉が伝わるや反転し大幅高になった。
1990年代から21世紀初めのグリーンスパン時代には、その言葉が世界の相場を動かす威力をもち、「グリーンスパン以上の影響力を持つ人」と評価された。
「投資家は個別の悪材料に反応し過ぎだ。景気は上昇基調だし、企業収益は回復、株価は年末にはS&P500が2,100ポイントになる(本日の引け値/S&P500は1921.84ポイント)
「プロの投資家は市場に蔓延する恐怖心の反対をいくべき」と強調した。ゴールドマン・サックスの精緻なデータをベースを駆使し実績を上げてきた専門家だけに、この日は久しぶりに大きな影響力を発揮した。

また21世紀初頭10年間の最高の運用者という栄誉をモーニング・スターが格付けしたデビッド・ヘロー(オークマーク・ファンド)は次のようなポートを投資家に送った。
「マクロ、地政学リスクの材料を本能的に受け止めて投資するのは間違いだ。これまで数えきれないぐらい、この種の間違いを指摘してきたが、この手法は企業価値を長期的な観点で判断するにはまったく効力がない。短期志向のトレダーの餌食になるだけで、真の投資家は下がった時点で投資をする。材料よりも企業のファンダメンタルをまず考える」と書いている。
彼の運用ファンドはハリス・アソシエイツ投資会社の傘下で、この機関投資家は日本の公的年金の運用も託されている。

相場が限りなく底値に近い。
 

バフェットはどうしている

2016-01-14 07:10:16 | 投資戦略
NY株は2日間の続伸のあとこの日は364.81ドル安と新年來の弱気相場に逆戻りした。中国株の軟調を除けば、特に新悪材料が出たわけではない。
相場が下落するとメディアが弱気見通しのストラティジストのところへ走る。
この日は地区連銀のベージュ・ブック(景況感)が公表された。
景気指標は製造業がまちまちだが、個人消費、住宅は堅調。市場が気にするような変調は現れていいない。
年初来の世界株価のかく乱要因になった上海株は安いが、アジア、ヨーロッパへは波及しなかった。ただウォール街での投資家のセンチメントは悪く、CNNMoneyが出す指標の「Fear&Greed」(恐怖&欲望)は14ポイントと1週間前の35ポイントから急落した。指数がゼロに接近するほど市場の弱気が増す。最近の相場は上下への振れが大きく、投資家の先行きに対しての確信がみられない。
年初來の中国株の暴落、中東での地政学リスク、石油の急落など折に触れ相場の基調を揺すぶる材料が出るのに恐怖を感じる。

こんなとき、ウォーレン・バフェットはどうしているのか?
最近、話題になったのは石油関連株への関心。SECへの届け出ではかねて大株主であったエネルギー関連のフィリップ66(PSX)を買い増した。石油大手のコノコ・フィリップス(COP)の精製・輸送・販売などダウンストリーム部門を切り離して独立した会社である。
バフェットはもともとエネルギー関連には米国産業の大動脈と判断して長期的には注目してきた。
彼の投資哲学の「万人が恐怖感を抱くときはチャンス」を静かに実行している。
昨年、石油の下落時にこの株に“提灯を点ける”ことを考えたが、時期を失っていた。
こんどは“バフェットをコピーする”ことを考えようと思う。