足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

週末の反騰の背景

2016-01-25 06:41:19 | 投資戦略
北米の東海岸は猛吹雪に見舞われた。先週のウォール街ではS&P500が2014年2月以来の水準にまで落ち込んだ。
中国株の暴落、原油相場の下落が世界の株価を直撃し先行きへの不安が増幅した。しかし先週末には急反発し、S&P500が+2.03%、上海+1.25%、香港+2.90%、東京+5.8%、独+1.88%、仏+1.99%、南ア+3.55%になった。ショート・ポジションをとっていた弱気筋が買い戻したからである。
今週はビッグイベントが控えている。
26日~27日の米連銀FOMC,28日~29日の日銀政策会合である。
先週はユーロ中央銀行のドラギ総裁が一段の量的緩和政策の断行を明言した。政策当局の目線が国内よりも中国、産油国の方に移行してきた。

米国では2015年の決算発表が本格化するし、東京市場では2月上旬から第3四半期の決算発表がある。
NYダウ平均は1月の高値から14%下落し、日経平均は20%暴落し、相場は弱気相場いりを示唆した。
日米欧の中央銀行の首脳は、このまま放置すれば安定してきた国内の金融市場が、外的要因によってかく乱されることをはっきりと意識し始めた。

ウォール街でもっとも注目されているジョン・ポールソン(ウェルズファーゴ投資顧問)は目先、「相場は底入れる」と強気に転換した。今回の調整を的確に予想した一人である。

昨12月、2016年の有望株10選を選んだ。その銘柄の週末の日々線との25日線との乖離率をみると
クックバッド(2193)-29%、カルビー(22229)-5.3%、ぐるなび(2440)-8.1%、MonotaRO(3064)-19.2%、日本調剤(3341)-6.2%、塩野義製薬(4507)-5.0%、小野薬品(4528)-7.9%、コーセー(4922)-6.7%、シスメックス(6869)-4.3%、朝日インテック(7747)-3.9%である。いずれも買いのチャンスにきている。

東京市場、本年初の存在感

2016-01-23 07:22:32 | 投資戦略
昨日の世界株価は全面高。
東京市場の上昇が+5.83%と際立ち、NYダウ+1.33%、上海+1.25%、インド+1.98%、独+1.99%、英+2.19%を大きく上まわった。
世界株価の上昇の背景にはヨーロッパでさらに量的緩和が進められること、昨年の悪材料であったギリシア国債がデフォルト可能性から1段階引き上げられたことなど、好材料がそろった。
またこれまで株価の最大の悪材料であった原油相場も一時の$30割れから脱出し、この日は$32台まで回復した。材料は12月のOPECの生産量の減少である。
特に上昇が目立った東京市場だが、28~29日の日銀政策会合では黒田総裁が何らかの一段の緩和策を発動するといい期待観が出ている。2013年の就任いらい歯切れの良い金融緩和の方向性の発言が続いたが、最近は途絶えてきただけに、ここでは市場の期価観が高まる。
比較して積極的なのはユーロ中銀のドラギ総裁だ。ドイツの保守的な金融政策に真正面から立ち向かい、その姿勢はいささかもぶれない。

金曜日の東京市場の反騰力は見事であった。これまで溜まっていたエネルギーが噴き出た。

バフェットは明日、1ヵ月後の相場は語らないが、長期は予想する。彼の長期の規定はないが、5年、10年先は語る。アメリカ資本主義の実力である。
さて日本だが4年後のオリンピックはどうか?先行き国力をあげて一段と国際化への整備が進むし、社会インフラも進める。こまかいことだが、肝心の関東圏をみて街角にある公衆トイレひとつとっても、まだ3流国並みである。
10数年前の話だがエディンバラの投資銀行のトイレにはいってびっくりしたのは、応接室並みであったことを想起させた。この国は投信の発祥地である。
アベノミクスがやるべきことはまだまだ山積している。
バフェットに倣って5年先の株式を買おう。一つの手段は東証の株価指数の現物を買うことである。

超高速回転取引が左右

2016-01-22 06:57:44 | 投資戦略
NY株は反騰した。
これまで世界の株価の動きを左右していた原油は落ち着いたが、中国株は続落したが、NY株の動きに先行してヨーロッパ株は軒並み反騰した。
今回の世界的な株安のなかでは悪役の中国の下落に一番に敏感に反応したのは東京市場で昨年末の高値からの下落率13%になった。NYダウ平均の同7%と比べてもずば抜けて大きい。世界的な株安の元凶の上海株安と肩を並べる。一方、NYダウは-8%である。
このように最近の中国株、原油株の余波の影響の打撃が最も大きいは日本株で、ここ4年間のアベノミクス相場も完全に人気を失ってしまつた。相場が気にするのは円相場の反転で円高の方向に基調が変化したとみる懸念が強まる。その下落率は昨年の世界の株価に影響を与えたヨーロッパ株に比べても大きい。

足元の企業収益を見れば日本は10%以上の増益が見込まれ、もたつく米国に比べても好調である。
しかし世界の投資家は、ここへきての日銀の政策の方向性についての不透明性を気にする。
来週は日米とも中央銀行の政策会合が週後半に開催される。米連銀は12月に政策転換し、ゼロ金利からの脱却を決めたばかり、動きは期待できないが、ユーロ中央銀行のドラギ総裁が昨日は一段の量的緩和を口に出しはじめた。
ところが2013年以来、緩和政策の先頭を切っていた日銀の黒田総裁の歯切れが悪くなってきたことがきになる。それが円高基調を呼び、外人投資家の日本株離れを起こしている。中国経済の低迷は構造改革への移行期にあるということで一致しているが、外人投資家の日本株への気迷いが日本株の停滞の最大の原因である。東京市場は一時期、NY市場で話題になった超高速回転売買(HFT/10億分の1秒のスピード)にかく乱されている。20世紀には考えられなかった相場の変動がこれからもしばしば起こるだろう。

来週の日銀の動きが相場の先行きを判断する大きな決め手になってきた。


「恐怖&貪欲」指数が急低下

2016-01-21 06:10:46 | 投資戦略
NY株は暴落した。一時は-531ドルになり市場にパニックが走った。
市場の懸念は中国、原油の下落だが、特にこの日は12年振りの安値を記録した原油相場だ。この2つの悪材料に関して、目下、問題解決に全力を投じているのは中国の政策当局だが、世界第2位の規模になった大国には、これまで現在のような経験がなかっただけに、対策をめぐって右往左往している。
一方、原油の暴落で大きな打撃を受けているのは産油国の大国サウジとロシアである。今回の原油安の理由に米国のシェール石油の増産という問題があるだけに、相場のテコ入れは簡単でない。中東の産油国も苦難の面ではこれまで経験したことのない未踏の場に直面している。
昨日のウォール街では懸念材料のひとつとして円相場の上昇が話題になった。これまで日銀の量的緩和とアベノミクスで日本経済は回復の糸口をつかみ、外人投資家も高く評価してきたが、今回の円高には大きな戸惑いと失望感がある。これまで2%のインフレ目標を掲げて走ってきた中央銀行の動きが、相場の暴落に対して沈黙を守っているからだ。
本欄で利用している市場センチメント指数であるMarketWatch(ウォールストリーとのウェブ版)の「Fear&Greed」(恐怖&欲望)は1週間前の14ポイントから、この日は8ポイントまで急落した。1ヵ月前が32ポイントで、市場の先行きの不安感がみてとれる。
この指数はVIX(恐怖指数)よりも計算の根拠になっている数値が全体で8項目とより精緻で、そのなかにはVIX指数も入っている。最近の最安値は昨年夏場の2ポイントで当時はゼロに近づいた。それに比べるとまだ上にあるが、限りなく下値に近づいていることは確かである。
NY市場では引けにかけてナスダック指数が一時はプラスに転じるなど、バーゲンハンター(押し目買い)が出てきた。
来週の米連銀のFOMC,日銀の政策会合が一つの転機になる可能性に賭けたい。
ウォール街ではジョン・ポールソン(ウェルズ・ファーゴ)、マリオ・ギャベリ(バロンズ誌の新春座談会の常連メンバー)が相場の展開をみて強気に転換した。

東京市場ではETF(上場投信)の日経平均レバレッジ・インデックス連動型投信(1570)に注目したい。

バフェットに聞いてみよう

2016-01-20 05:59:42 | 投資戦略
ウォール街での年初来の議論の焦点は、現在の下落相場が「単なる調整なのか、構造的な弱気相場に突入したのか?」にある。
バフェットは「1ヵ月先、1年先の相場がどうなるかだれに分からない」として相場の予想は一切行わないというのが持論。どこで投資しても5年先には必ず成果が上がるとして2008年~2009年の恐慌相場(リーアマンショック)のときは、手持ち資金で全力投球してゴールドマン・サックスやGEに投資した。個々の銘柄だけでなく株価指数のデリバティブにも力をいれ、保険会社を相手に日経平均の長期のオプションも買った。大きな利益を上げている。
まさに「有言実行」で、持論通りの投資が5年後には大きく実を結んだ。
現在の下落相場が「単なる調整か、構造的な弱気相場の入り口なのか?」の判断は、バフェットに聞いても答えは返ってこない。おそらく「米国株式会社には全幅の信頼を置いている」という答えが返ってくるだけだろう。

ここ1年振り返って今回のような下落相場は昨年6月~10月にもあった。当時の日経平均は3ヵ月で19.4%下落した。当時も循環的な調整でなく、2009年を底とする上昇相場の終焉という見方が支配した。
今回の下落相場は昨年11月下旬に始まり、現在まで日経平均は16.9%下落した。この下落率を比較するかぎり、現在の下落相場が構造的な長期にわたる調整局面とは断定できない。

昨年12月に「2016年の有望株10選」を「トリトンスクエア通信」に掲載した。それらの銘柄の現在のテクニカル指標をみてみよう。
25日移動平均と時価の乖離率は次の通り。
クックパッド(2193)-12.1%、カルビー(2229)-7.0%、ぐるなび(2440)-7.3%、MonotaRO(3064)-17.9%,日本調剤(3341)-8.0%、塩野義製薬(4507)-3.8%、小野薬品(4528)-12.6%、コーセー(4922)-10.7%、シスメックス(6869)-4.8%、朝日インテック(7747)-8.1%
いずれも大型株でないが、意識的に大型株を避けたのでなく、ファンダメンタルからしての有望株を選んだら、このような銘柄が並んだ。10%以上の乖離率は明らかに行き過ぎである。
バフェットの投資哲学に倣って投資を考えよう。今週の「トリトンスクエア通信」ではバフェット銘柄を取り上げてた。