足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

世界の株価は悪材料を先読みしていた

2011-08-08 07:48:34 | 株式

週末から日曜日にかけての米国のメディアは先週末の米国債の格付けの引き下げを巡って株価がどう反応するかの記事に集中した。

弱気筋は勢いづきリーマンショック以来の市場の弱気センチメントを重要視し、先行き9月にかけての相場の一段の下落を見込んでいる。

日本ではあまり注目されないが景気・株価の先行きのセンチメント指標にIBD指数というのがある。月初めに発表されるが8月は35.8と7月の41.4から急落した。前回、景気が不況いりした時の2007年12月の数字を下回った。今回のS&Pの米国債の格付け引き下げ以前の調査であるが、データのなかで重要視したのは米議会での混乱である。

指数の読み方は50が先行きの強気、弱気の分岐点である。米議会での債務上限引き上げの難航、最近の景気指標の鈍化、ユーロ圏での金融不安の再燃をIBD指数は適確に先読みした。このような数字が出る以上、最近は投資家のセンチメントが極端に悪化し、株式離れを起こしているのがわかる。IBD指数の先読みの先見力の正確さが実証された。

NY株は7月高値から10%近い下落になり株価は割安になった。特に第2四半期の米国の企業業績が予想を上回り当初の+10%増益予想から+18%近くにまで増額されている。このためS&P500のPERは12倍に低下した。この数字をもとにした益利回り(株価収益率の逆数)は8.3%である。株価の水準を判断するのに株式の収益率である益利回りと長期金利の関係をみる。

現在の長期金利は2.56%で益利回りとの差は5.74%と株式投資の魅力はかってないほど高い。金利が超低金利であるからだ。このような視点からすると、現在の株価は歴史的にみても超割安である。

さてどちらの見方をとるか?

欧米の投資家の見方は短期的にはS&Pの格下げの影響が株価には影響をあたえるとみる。余波を受けるヨーロッパではECBがイタリア、スペインの国債の買上げを決めた。

東京市場も7月の高値から日経平均は-8.7%と急落した。テクカル指標は騰落指数も株価の乖離率も25日移動平均に対して調整の終幕に来ている。今回は相場が悪材料を先読みしていた。