NY株の動きに下値抵抗感が出てきた。
日本株のいまのところの唯一の頼りにできる材料である。雇用、サービス業界の好調な指標が相場の方向を支えた。
東京市場では引き続き好決算の発表が続く。
そんな中で昨日の決算発表で失望感をもたらせたのは日本写真印刷(7915)であった。
この会社は2008年のリーマンショック後も、多くの企業の収益がつるべ落としのように落ち込んだのに、ひとりわが道をいくと、2009年3月期、2010年3月と高水準の利益を維持してきた。
「空気以外にはなんでも印刷できる」という高度な印刷技術が携帯電話、ノートPC向けにビジネスチャンスを開いたほか、小型タッチパネルでも世界トップクラスにのしあがった。
しかしエレクトロニクス業界でのスマートフォン、スレートPCという急に浮上した市場には、経営戦略の舵がうまく適合できなかった。
2011年3月期の既発表の企業が売上+7.4%、純益+80%という予想数字を出しているなかで、見通しの減額修正をした。ショッキングな話である。
さまざまな要因が業績に影響を与えたが、経営戦略のちょっとした狂いが短期間に大きく業績の方向性を変化させるという一つのケースになった。
グローバル化した経済ではこれからも同じようなケース出てくるだろう。
株式の「バイ&ホールド」戦略での銘柄選択の難しさの典型例である。