11月のこの時期は、いつも求職者の群れがまばらになってきてあわただしい雰囲気から遠ざかる。求職者が雇用保険の手続きに来られるのもポツンポツンの状態で、私達も自分の抱える本来の仕事に埋没することができる。私もこのときとばかり、今までなし得なかった溜まっている用事を片付けることにした。しかし、別室でPCを使っていると、すぐさま受付嬢が私を呼びに来た。あんた指名の人が訊ねて来たがどうするか・・・相談を受けるか・・・と聞いてきた。私には断る理由がないので私の席で待っていただくようにお願いする。
私の席で待っていられた方は、50歳の半ばくらいか、話を聞くと、自分の希望する仕事がない、どうすればよいのか、履歴書を何度送っても突き返されるばかりで面接まで進むことが出来ない・・どうすればいいのか・・・と私に話し掛けてきた。
自分の今まで蓄えた職業能力と事業所からの今とこれから求められる仕事能力を考えてもらう時間を持つことにした。求人市場の理解より、いつものことながら自分の希望や欲望を優先するのみで、例えば今の生活水準を確保するのに最低○○万円が必要だという話になってくる。このパターンになると今まで何度もやってくる求職者を思い出す。賃金のみで動いて、やがてその仕事のおもしろさがわかる前に退職し、またまた別のところに転職し、解雇されそしてまたまた・・・の繰り返し。共通しているのは、家族を守りたい気持ちが伝わることは美しいとして、その家族の未来がなんだかぼやけてくる感じを受けることが共通している。家族を守るために主人の最大のなすべきことは、最低○○万円なのか、たったそれだけなのか、それ以外には考えられないのか・・・などと思う。