カクレマショウ

やっぴBLOG

問題分析・目的分析

2010-09-15 | ■教育
職員研修で「講義・演習」を担当する機会がありました。

持ち時間は100分。演習で何をやろうかとさんざん考えた挙げ句、「問題分析・目的分析」を体験してもらうことにしました。

私たちは、ある事業を企画する際、まず現状の「問題点」に着目し、それが「解決された状態」を目指すことになります。つまり、「問題解決の手段」としてもっともふさわしい取組を考えていくわけですが、時にそれが的を外れたものだったり、ニーズにそぐわないものだったりします。その原因はいろいろありますが、そもそも「問題」のとらえ方が間違っている場合もあります。一つの問題だと思っていたことが、実は複数の問題からなっていたり、本当に解決しなければならない問題の「レベル」がズレていたり…。

そういうことを避けるためには、「問題」そのものをきちっと「分析」しておく必要がありますが、実はそこが曖昧だったりすることが多い。問題を正しく捉えていないと、事業の目的もぶれてしまう。そこで、「問題分析」と「目的分析」が必要なのです。実は、問題分析、目的分析というのは、国際開発援助の分野で使われている「PCM手法」のプロセスの一部なのですが、今回の研修では、グループに分かれて、この手法のさわりだけ体験してもらうことにしました。

問題分析とは、要するに、問題相互の因果関係を見つけることです。つまり、ある「問題」の原因となっている「問題」を深く掘り下げていくのです。たとえば、今回の研修であるグループが挙げた「問題」に、「高校生の自転車マナーが悪い」というものがありました。その原因となっている「問題」は何かを考えていく。



こうした体系図を「問題系図」と言います。問題と問題とが「なぜならば」という言葉でつながっています。

次に、「目的分析」に入ります。否定的な表現で書かれている個々の「問題」を一つ一つ肯定文に直して、別の体系図を作っていくのです。「問題」を肯定文にしたものが「目的」となり、今度は、「そのためには」という接続詞でつながっていきます。



これが「目的系図」です。目的分析をしていくと、「課題」すなわち「やるべきこと」が明確に見えてきます。

今回はトレーニングですので、「問題系図」も「目的系図」もほんの一部しか作れませんでしたが、この手法の原理ややり方は理解してもらえたのではないかと思います。

問題分析なんて、ほんとうはメンドくさい。そんな手間をかけなくても、目的や課題を見つけることはできるでしょう。でも、きちんと「問題分析」をすることには、次の2つの点で意味があると思います。

一つは、この手法は極めて「論理的」に進められるので、その目的や課題が本当に「正しい」のかが見えてくること。上司への説明の際にも、有効な説得材料となります。

二つめは、「みんなで」一緒に考えていくという「透明性」があるので、最終的に目的や課題が共有しやすいこと。なぜその課題を掲げているのか、その背景を共有しているかいないかは、非常に大きな違いですね。

研修後に、自分の抱えている「問題」について問題分析をしてみたいとおっしゃってくれた方がいました。何はともあれ、「自分でやってみる」ことが、この手法を理解する最善の方法だと思います。どんな小さな問題でもいいので、「プチ問題分析」から始めてみることをお勧めします。


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