物価は欧米では経済の体温と言われている。景気が好転し、企業業績も改善しているのに、この経済の体温と呼ばれる物価が上昇に転じていないのである。アメリカでは主要500社の純利益が7~9月期、前年比で6%も増えた。この傾向はヨーロッパでもでもそうだし、日本でもそうだ。アメリカの企業は手元に1兆8000億ドル(日本円で180兆円)もの巨額の資金を抱える。だが、企業は設備投資や雇用に慎重である。欧州企業も、新たな設備投資のための銀行借り入れなどをためらう。このため、失業率の改善はなされず、消費は進まず、政府や中央銀行が何もしなければ、景気後退に落ちる状況になる。だから、どこの政府も財政出動を余儀なくされるのだが、それにも限界がある。まして、スペインなどは財政の悪化は国債の暴落につながりかねない。だから、中央銀行の金融緩和策に頼らざるを得ないのだが、お金は市中に大きく出回っているが、使い手がいない状況になれば、当然、株式とか、不動産とか、一部の資産インフレを引き起こすのである。日本では、確かに、一部の物価は上がり始めているような気がする。誰もが、今年の春闘の結果を心配そうに見ているのである。
Y-FP Office Japan
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