北朝鮮で、これまで、金正恩第一書記の叔父で、No.2とみなされてきた張成沢(チャンソンテク)国防副委員長が失脚した。会場から突然に、連行される張氏の写真が公開されて、衝撃的である。解任された理由は「派閥を形成して自らの勢力を拡大し、党に挑戦した。」というもので、これだけなら、権力闘争の末、あるいは、張氏が金第一書記の叔父という立場を誇示しすぎた、出過ぎたということの結果だと思われるのだが、彼の犯罪として列挙されているそのほかのことが空しいのである。独裁国家の主要人物が失脚すると必ず枕詞のようにつくもの。「女性と酒池肉林のような生活をしていた。」とか。「麻薬におぼれていた。」とかいうものである。事実、そうであったかもしれないが、彼のような権力者にはすり寄る女性も多かったと思うし、女性と酒を飲む機会もあったはずである。麻薬と言っても、大から小まで、煙草を麻薬という人もいる。彼がどんな麻薬を吸っていたか分からない。私が言いたいのは、失脚者の生活を悪く言えば言うほど、自分たちに跳ね返ってくる気がするのである。何も知らない朝鮮国民は、この張氏だけがこんな生活をしていたとは思わない。他の権力者の多くも、同じような生活をしているに違いないと思う。張氏は悪人であったけれど、普通の生活をしていたと報道されれば、現在の権力者も普通の生活をしているのだと思うのだが、酒池肉林、麻薬三昧で、自堕落な生活をしていたと報じられれば、たぶん、他の人たちの生活も、そのようなものだと想像するのである。なお、一言付け加えさせていただければ、私は決して、張氏を擁護しているのではない。
Y-FP Office Japan
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