あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

天才とは

2016年04月24日 | うんちく・小ネタ



今から20年前、指導してもらったコンサル会社の会長から金言を賜りました。

「5歳までの原体験と15歳から30歳までの時の流れで、その人の一生が決まる」

さらに遡って2000年前、アリストテレスはこう言明しています。

「我々が幼少期に形成した習慣は非常に大きな違いを生む。すべての違いはそこから生じる」

この2つの名言は、幼少期と思春期が人生で最も多感で重要な時期であることを表現していて、肝に銘じて精進した選良のみが立派な大人になれるんだよというメタファーでもあります。

ただし現実は、「やっときゃ良かった」の後悔だらけ。
当然ながら時間は遡れません。



そこで脳科学者は考えました。時間は遡れないが、幼少期や思春期の脳機能を再現することならできるのではないかと。
子供時代から青年期にかけて、脳内は外界からの刺激を受け火花を散らしながら新たなシナプスを形成します。
この「臨界期」と呼ばれる青春まっただ中の脳の状態は数ヶ月から数年続くが、臨界期が終了すると脳機能は固定され、学習したことが永続的に残るのです。

三つ子の魂百まで。




この封印を解き、臨界期を再現する手掛かりが見つかったのだそうです。
臨界期が終了した際、「ペリニューロナルネット」という構造体が脳機能を固定するらしいのですが、酵素を使用してこれを分解すると臨界期の扉が開き、青春の脳がよみがえるというのです。
スイスのフリードリヒ・ミーシェル生医学研究所のチームは、ベルが鳴ると恐怖で立ちすくむように刷り込まれたラットの脳に酵素を注射すると臨界期が始まり、ベルを怖がらない訓練が成功したと報告。
つまり、注射で何でも吸収できる若き日の脳になり、やり残したことや、やり直したいことが脳細胞に上書きできるわけです。



夢のような話ですが、歳を取ってニューロンが火花を散らすわけですから、脳細胞の損傷やアルツハイマーのリスクはあるでしょう。
というか、人生の後半で人格や性格が変わってしまうのはいかがなものか・・・。

くしくも200年前、フランスの詩人ボードレールが天才について語った言葉が、臨界期の再現を予言しているようで・・怖い。

「天才とは、意のままに取り戻された幼少期にほかならない」



この記事についてブログを書く
« 震災により被害に遭われた方... | トップ | リーダー »