あんなこと こんなこと 京からの独り言

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伝統を支えているもの

2018年06月03日 | うんちく・小ネタ



関東と関西の違いは、さまざまな角度から論じられています。 
枯節だしの関東に荒節だしの関西、濃口醤油の関東に淡口醤油の関西、肉じゃがは関東が豚肉で関西が牛肉。 


さらに切り込んで、家庭の食卓メニューを比較してみました。 
メニューの出現頻度を比較したデータによると、関東で多いのは味噌汁、サラダ、納豆、のり、漬物、佃煮。
対して関西は、食パン、菓子パン、うどん、お好み焼き、たこ焼き。 



見事なまでの関西粉もん傾向ではないですか。
ごはんに味噌汁、のりに漬物という古典的な日本食は関東限定となってしまったのでしょうか。 

特に意外だったのは食パン。スーツを着ながらトーストを牛乳で流し込むサラリーマン像は、東京近郊の朝の定番だとばかり思っていたのですが、朝食における食パンの出現率は関東の27%に対し、関西は45%。 



さらに、パンに関するデータを掘り下げると、1世帯当たりのパン消費額ランキングの1位は意外なことに京都市で、年間3万8千円。
2位以下は神戸市、岡山市、堺市、大阪市、奈良市、大津市、和歌山市、広島市。10位に塩パンの発祥、松山市で年間3万3千円。

京都がパン食トップとなった背景には、伝統産業を支える職人の暮らしぶりがあるとか。 
パン食が京都で流行し始めたのは戦前で、西陣織の職人さんたちが忙しい仕事の合間を縫って食べられるものを求めたそうです。
旦那衆の新しもの好きも後押しし、京都大や同志社大などが面する今出川通りは、パン戦争勃発のたたずまいです。 



関西には米どころが少ないからかもしれませんが、和食の聖地である京都がパン日本一になる不思議。 

かつて、大陸からの渡来人とその技術を受け入れた京都。

その柔軟性と合理性が伝統を支えているのではないかと思いました。