あんなこと こんなこと 京からの独り言

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要注意?

2017年11月27日 | うんちく・小ネタ



本体のほんの一部にしか存在しない、プレミアムな味というものがあります。
横綱あられに2、3枚入っているえび満月せんべいとか、味ごのみに2、3匹入っている味付けいりことか、ごはんのおこげとか、魚の煮つけのほほ肉とか。

高知名物に「ぼうしパン」というのがあって、プレミアムな端っこの耳の部分だけを「ぼうしのみみ」としてヤマザキが商品化したのですが、贅沢感はあまりありませんでした。



貴重な存在だからおいしく感じるわけで、「これでどうだ」って出されると、片想いが成就したとたんにパワーダウンするように、プレミアム感が薄れてしまってちょっと残念・・。

そんな片想い食品に梅干しの天神様があります。梅干しの種を割ると出てくる白くて柔らかい核。仁とも呼ばれるそれは、植物学的には胚乳。



子供の頃、はじめて食べた時の想い出があり、赤い梅干しから出てくる白い天神様は神秘的で、あの柔らかさもまた妖しかったものでした。
しかし、天神様にはアミグダリンと呼ばれる青酸配糖体が多く含まれているらしいのです。

青梅中毒で悪名高い青酸である。
「天神様を25~50g食べると生命の危険がある」
なんて記述もあるのです。

「梅の種の中には神様がいらっしゃるので食べてはいけない」と親に言われて育った知人もいました。



アミグダリンはブドウ糖とベンズアルデヒドと青酸が結合したものであり、このままの状態だと毒性はありません。
ブドウ糖を切り離す酵素であるグルコシダーゼが働いて、初めて青酸が発生するのです。

とすると、私はこの酵素が働かなかったのか、それとも単に食べた量が少なかっただけの問題か。

いま、女性の間で梅干しがブームらしく、梅干し専門店が賑わっているという話題を耳にしました。

けれど、天神様には要注意。
天神様の細道は「行きはよいよい帰りは怖い」(?)のであります。