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塩麹

2012年05月28日 | うんちく・小ネタ


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今年ヒットが予想される食品として、ウイルス性の病気にも良いという「塩麹」が多くのメディアで取り上げられています。
中には「食べるラー油に続くブーム到来」と息巻く評論家もいたようですが、それはどうか・・・。塩分が13%前後もある塩麹は、そのまま食べるにはしょっぱすぎます。
ただ、食材を加工する「漬け床」と考えれば塩麹が活躍するシーンは多いので、野菜を漬ければ浅漬けになり、魚介類や肉類を漬ければ酵素の力で旨味と甘味が増し、食感も柔らかくなります。

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大豆や小麦を麹で発酵して作る味噌、醤油ではあたりまえの加工法ですが、それをキッチンに持ち込んだのが塩麹のようです。
塩麹の作り方は、乾燥麹200gに塩60g、水300gを加え、時々混ぜながら常温で7~10日間放置するだけ。その後約半年は冷蔵庫で保管が可能となるとか。
塩麹に存在する主な酵素は、プロテアーゼ(タンパク分解酵素)、アミラーゼ(デンプン分解酵素)、リパーゼ(脂肪分解酵素)、セルラーゼ(繊維分解酵素)等で、これらの共同作業で食材のタンパク質がアミノ酸になって旨くなり、デンプンがブドウ糖になって甘くなり、脂肪が分解してすっきりし、繊維が壊れて柔らかくなる訳です。

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                         酵素構造

                                                                 酵素の力は化学薬品に比べてマイルドで食品向きです。そして、酵素自身がタンパク質ですから安全でゴミ処理や排水処理の必要がありません。
洗剤に酵素が多用されるのも、同様の理由からだと聞きました。

酵素メーカーに勤務する人の話によると、最近のヒットはデニム生地の青色色素(インディゴ)を分解するラッカーゼという酵素。ジーンズの脱色に応用すると、ケミカルウオッシュにはない自然な風合いが出るそうです。
穏やかで安全に仕事をこなす酵素と、その酵素を生み出す麹。エコ時代にふさわしい助っ人ですね。

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