あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
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百獣屋

2011年11月28日 | うんちく・小ネタ

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日本人が肉を本格的に食べ始めたのは明治維新以降。西洋の食文化の影響を受けて、すき焼きの起源ともいわれる牛鍋やトンカツなどの肉料理が登場します。

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明治維新前の江戸時代にも猪、鹿、兎、熊、狸、牛などの肉が食用として提供されていました。ただ、やはり肉を食べることは人目をはばかったようで、猪肉を「牡丹」「山鯨(やまくじら)」、鹿肉を「紅葉」などと呼んで自他に対して誤魔化し(言い訳)をしていました。

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ところで、江戸時代にこれらの肉を扱っていた店は、様々な獣の肉を提供する店という意味から「百獣屋(ももんじや)」と呼ばれていたそうです。

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一方、尾のある獣や毛深い獣を嫌って、関東でお化けを意味する「モモンジイ」と呼んだことから、それらの肉を扱う店も「ももんじ屋」と呼ぶようになったという説もあるそうです。
言葉通り、妖怪を売ってるお店だったら覗きにくらいなら行ってみたいものです。

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  享保3年(1718)創業の猪料理店 (東京墨田区両国)