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白い巨塔的医師不足

2011年10月17日 | うんちく・小ネタ
               
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医師不足が叫ばれて久しくなりました。
厚生労働省の調査によると、診療に従事している医師の数は
2006年末で約26万6000人。人口1000人あたり2.1人の割合です。これは、先進29ヶ国中26位の低水準。
1位のギリシャだと1000人あたり5.4人にもなるそうです。
逆に日本の病院ベッド数はトップで、1000人あたり14床。
ギリシャはかなり少なく4.8床。やはり、日本の医師は1人が抱える入院患者数も多くて大変ということになります。
厚労省は医学部の入学定員を現在の46大学8486人から将来的には12000人に増やすべきだと提言しているようです。
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                                                                 そもそも、若人が医学部を志望する動機は何なのでしょう。
現在の医学部生の約半数が親も医師であることを考えると
世襲的要因が上位に来ることは否めないようですが、映画やテレビに登場する医師像に惹かれて…、という動機も大いにあるはずです。      
                     
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そこで、日経メディカル2010年増刊号が選んだ『日本の医療映画10本』を読んでみました。
「赤ひげ」「海と毒薬」「本日休診」「白い巨塔」「ヒポクラテスたち」
「大病人」「命」「阿弥陀堂だより」「感染列島」「デイア・ドクター」。                                            医療雑誌の厳選作品だけにどれも秀逸ですが、やはり「白い巨塔」でしょうか。
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1966年公開の白黒作品ながら、田宮二郎演じる財前五郎がキレにキレていたように記憶しています。その後、1978年6月からスタートしたテレビ版も凄かったように思います。
ある知人の同級生3人がテレビ版の田宮財前に感動して医学部を目指し、その内の1人はなぜか途中から役者を志しました。
正統派(?)の2人は医師になったそうですが、アウトローの1人は消息不明。
結局、その知人の小学校時代の同級生6人が医師として活躍しているようですが、勤務先は全て出身地の県庁所在地の市内中心部。そして、激務といわれる産科、小児科、救命救急医はゼロ。医師不足ではなく、医師の偏在化が問題なのだと感じさせる身近な事例となりました。
                                                                 財前教授に憧れた医師が、僻地医療を目指すはずもなく、将来のためには「赤ひげ」のテレビ版を復活させるしかないと思うこの頃です。
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