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ロッシーニ序曲集/オルフェウス室内管弦楽団

2005年05月08日 17時04分47秒 | クラシック(一般)
 まだまだ続くロッシーニ序曲集(笑)。今回は先日中古で購入したオルフェウス室内管弦楽団によるアルバムを聴いてみました。オルフェウスCOは二十数名のちいさなオケで、指揮者を置かずに実現した、その精緻なアンサンブルが、デビュウ当時大いに話題となったものですが、その時のアルパムがこれという訳です。なるほど、たまげる程にきれいに整ったアンサンブルです。まさに一糸乱れぬという形容詞がこのくらい相応しいオケもないという感じで、聴いていてとにかく爽快、ここまで来るとスポーツ的快感という感じもしないでもないですが、とても楽しめたことは間違いありません。

 オルフェウスCOというと私は、数年前にシェーンベルクの室内交響曲を演奏したアルバムを購入しことがありますが、なにしろあの曲は精緻な演奏が揃っていることもあり、一聴してとてもモダンで柔軟な演奏だなとは思いましたが、このアルバム程には驚きは感じませんでした。やはり、「セビリアの理髪師」みたいな耳タコ状態の曲だと、私みたいな素人でもオケの特徴が、いやおうなく伝わってくるというところなんでしょう。
 とにかく、オケの人数が少ない上、弦などまるでMIDIでシンクロしてるんじゃないかと思うくらい(笑)、細部まできっちり揃ってますから、各声部が非常にくっきり聴こえます。また、リズムはシャープでアクセントもとても鋭く、演奏かなりドライでモダンな印象ですが、この手の演奏にありがちな厳しさばかりが目立ったり、機械的な演奏というパターンに陥っていないのは、このオケが旋律をあっけらかんとするほど良く歌い、どこからくるか分かりませんが演奏のそこかしこからオプティミズムのようなものを発散しているからでしょう。

 あと、このアルバム選曲もユニークで、「どろうぼうかささぎ」や「ウィリアム・テル」といった有名曲がいくつか落ちているかわりに、他の序曲集ではお目にかかれない珍しい曲が4曲ほど入ってのす。これがまたけっこう聴き物で、どれもロッシーニらしさたっぷりつまった曲だったので、けっこう拾い物の感がありました。
 具体的にいえば、「タンク・レディ」は「セビリア」を小型化したような作品で、中間部のずんずん盛り上がるロッシーニ・クレッシェンドが聴き物。「幸福な錯覚」は本編の振幅の激しいダイナミズムが特徴。「結婚手形」はどちらかといえば古典派風の平安さとプロポーションを持った作品。比較的大規模な「イタリアのトルコ人」は長目の序奏から次第に盛り上がっていく作品で、推測ですけどこれを入れた替わりに「どろぼうかささぎ」は選曲から落ちたんじゃないでしょうか。

 あと、音質ですが、小さめのホールのステージにかなり近い席で聴いてるような録音パターンで、残響や低音も含め、かなりタイトな録音です。また、これまで聴いた序曲集の中では録音が一番新しいため、そのクリアさ、低域のコシといったあたりは群を抜いてます。

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