トミー・リピューマ、プロデュースによる1990年の作品。オガーマンはリピューマのプロデュースでフュージョン系の作品を70年代中盤以降、非常にゆっくりとしたペースで何枚か出しているが、さすがに高齢ということもあり、近年ではダイアナ・クラール以外はもっぱらクラシック系の作品のみに残った力を傾注しているようだから、これは最後の作品となるではないか。前作「City Scape」同様、マイケル・ブレッカーをソリストに迎えての作品だが、集まったメンツも、ブレッカーの他、ロベン・フォード、マーカス・ミラー、ヴィニー・カリウタ、スティーブ・ガッド、アラン・パスクァ、ランディ・ブレッカー、ポーリーニョ・ダ・コスタ、エディ・ゴメス他、錚々たるものである。
さて、本作は初出時に「ブルーバール・トリステス」というタイトルを、日本で勝手につけたことからも分かるとおり、ラテン色がけっこう強く、比較的耳障りのいいサウンドでもって仕上げられているのが特徴だろう。アルバムは8分~10分程度の長い作品5つから構成されており、オガーマンが腕によりをかけた、スタンダードなフュージョン・サウンドと格調高いオーケストラがかもしだすハーモニーが存分に楽しめる寸法だ。
1曲目「コルフ」は、ブレッカーを中心したすこしボサ・ノヴァの匂いもするテーマが一段落した後、転調して思わず視界が広がるような進行が素晴らしい。ブリッジのソロはロベン・フォードだが、なんともいえない「夜のムード」を醸し出しているのが素晴らしい。中間部のブレッカーはエレピとシンセ、そして木管で組み合わされたアンサンブルをバックにいつものことながら素晴らしいソロを展開する。
2曲目「リリコスモス」は弦楽とシンセのモダンなハーモーニーで形成されたイントロがいかにもオガーマン的な温度感と感触があるが、リズムが入る主部ではかなりホットな展開になる、ラテン風に盛り上がるラストではランディ・ブレッカーのソロも登場するものの、全体のトーンとしては、「Gate of Dreams」的な雰囲気が濃厚だ。
3曲目「アフター・ザ・ファイト」はAORっぽいリズムから、やはり木管を中心としたオーケストラのテーマがオガーマン以外の何者でもないセンスを感じさせていい。それにしても本作はシンセを多用してフル・オーケストラはあまり登場しないように思うが、そうした不足感を微塵も感じさせないのは、さすがオーケストラ編曲を知り尽くした人による作品という気がする。
4曲目「アドニア」は木管と低弦によるオーケストラをバックにランディ・ブレッカーが吹くテーマの後、ムードがかわり本編とおぼしきパートに突入する組曲風な構成という点で、やはり「Gate of Dreams」的世界を感じさせる曲である。
ラストの「ブルーバール・トリステス」は、ひょっとするとボーナス・トラック扱いかもしれない。ここではマイケル・ブレッカーは登場せず(リズム隊も異なる)、かつ、アルバム中、もっともオーケストラがフィーチャーされる曲でもある。また、ロベン・フォードがソロの主役として活躍するが、めずらしくクラシカル風なフレーズなど繰り出して、いかにもオガーマンを感じさせるヨーロッパ的世界ににじりよっているのがおもしろい。
という訳で、このアルバム、GRPらしい極上のフュージョン・サウンドに、後期オガーマンらしいシリアスなムードが絶妙にバランスして素晴らしい仕上がりになっていると思う。私のような軟弱な人間だと、前々作の「Gate of Dreams」は、今となっていささか時代を感じさせる音楽だし、「City Scape」の方は、ちとシリアスな趣が勝ちすぎていると思うのだが、本作についてはそうした違和感は、発売後20年たった今聴いてもまったくない。少なくとも、私が考える「オガーマンのイメージ」にぴったりとハマる音楽が、コレであることは確かだ。
さて、本作は初出時に「ブルーバール・トリステス」というタイトルを、日本で勝手につけたことからも分かるとおり、ラテン色がけっこう強く、比較的耳障りのいいサウンドでもって仕上げられているのが特徴だろう。アルバムは8分~10分程度の長い作品5つから構成されており、オガーマンが腕によりをかけた、スタンダードなフュージョン・サウンドと格調高いオーケストラがかもしだすハーモニーが存分に楽しめる寸法だ。
1曲目「コルフ」は、ブレッカーを中心したすこしボサ・ノヴァの匂いもするテーマが一段落した後、転調して思わず視界が広がるような進行が素晴らしい。ブリッジのソロはロベン・フォードだが、なんともいえない「夜のムード」を醸し出しているのが素晴らしい。中間部のブレッカーはエレピとシンセ、そして木管で組み合わされたアンサンブルをバックにいつものことながら素晴らしいソロを展開する。
2曲目「リリコスモス」は弦楽とシンセのモダンなハーモーニーで形成されたイントロがいかにもオガーマン的な温度感と感触があるが、リズムが入る主部ではかなりホットな展開になる、ラテン風に盛り上がるラストではランディ・ブレッカーのソロも登場するものの、全体のトーンとしては、「Gate of Dreams」的な雰囲気が濃厚だ。
3曲目「アフター・ザ・ファイト」はAORっぽいリズムから、やはり木管を中心としたオーケストラのテーマがオガーマン以外の何者でもないセンスを感じさせていい。それにしても本作はシンセを多用してフル・オーケストラはあまり登場しないように思うが、そうした不足感を微塵も感じさせないのは、さすがオーケストラ編曲を知り尽くした人による作品という気がする。
4曲目「アドニア」は木管と低弦によるオーケストラをバックにランディ・ブレッカーが吹くテーマの後、ムードがかわり本編とおぼしきパートに突入する組曲風な構成という点で、やはり「Gate of Dreams」的世界を感じさせる曲である。
ラストの「ブルーバール・トリステス」は、ひょっとするとボーナス・トラック扱いかもしれない。ここではマイケル・ブレッカーは登場せず(リズム隊も異なる)、かつ、アルバム中、もっともオーケストラがフィーチャーされる曲でもある。また、ロベン・フォードがソロの主役として活躍するが、めずらしくクラシカル風なフレーズなど繰り出して、いかにもオガーマンを感じさせるヨーロッパ的世界ににじりよっているのがおもしろい。
という訳で、このアルバム、GRPらしい極上のフュージョン・サウンドに、後期オガーマンらしいシリアスなムードが絶妙にバランスして素晴らしい仕上がりになっていると思う。私のような軟弱な人間だと、前々作の「Gate of Dreams」は、今となっていささか時代を感じさせる音楽だし、「City Scape」の方は、ちとシリアスな趣が勝ちすぎていると思うのだが、本作についてはそうした違和感は、発売後20年たった今聴いてもまったくない。少なくとも、私が考える「オガーマンのイメージ」にぴったりとハマる音楽が、コレであることは確かだ。
クラウス・オガーマンというより
マイケル・ブレッカーがお目当てでしたけど
BlogOutさんはオガーマン目当てだったんですね
なるほど、そういう風に聴く音楽なのか..../
またきます
/ なるほど、そういう風に聴く音楽なのか....
いやいや、どう聴こうとリスナーの自由ですよ。
多分、最大公約数はあっても、おそらく正解などありません。
/ マイケル・ブレッカーがお目当てでしたけど
これはオガーマン名義ですから、まぁ、問題ないですが
ダイアナ・クラールの新作なんて、自分の場合、
オガーマンがお目当てできいてますからネ(笑)。
ブレッカーはあくまでソロイスト
これってクラシックの協奏曲?
ブレッカー以外は背景のように聴いてた自分には
ちょっと新鮮な切り口だったっす
そういうところはあったかと思います。
まぁ、そういう意味での最高傑作は
これの前作「CityScape」かもしれませんが
こっちはけっこうリラックスして
普通のフュージョンみたいに
楽に聴くことがでる点もいいですね