細野晴臣と高橋幸宏がつくったYenレーベルの参加アーティストが集い、83年に作ったクリスマス・アルバム。83年といえば、既にYMOは解散していたけれど、YMOの後遺症のようなものは日本人アーティストにまだまだ蔓延していて、かくいうこのYenレーベルなども、いまして思えば、本家細野と高橋を筆頭にYMO後遺症にかかったミュージシャンたちが、なんとかYMOの幻影から決別すべく、集団的なリハビリをしていたようなレーベルだったと思う。参加アーティストは、御大2名の他、ムーンライダース、越美晴、大貫妙子、伊藤銀次、立花ハジメといったおなじみの面々だが、このアルバムで個人的に好きなのは、なんといっても、上野耕路と戸川純というゲルニカのコンビが二手に分かれて提供した2曲だ。
上野耕路の提供した曲は、「Prerude et Choral」というオリジナルで、日本語にするとフランクの曲みたいな「前奏曲とコラール」といういかにもクラシカル然としたものだが、内容もシンセでオーケストレーションされているとはいえ、まったくのクラシック的なもので、ベルク的な粘着質で饐えたような世紀末な感覚、シェーンベルクの「浄夜」を思わす冷え切った夜の感覚や弦楽のダイナミズムなどなど、2分半ほどのスペースの中に私の大好きな新ウィーン的なムードがつめこまれていて、めっぽう楽しめる。
前記「前奏曲とコラール」をまさしく前奏曲的に配置して現れる、戸川純の「降誕節」もいい。いかにもクリスマス然としたドリーミーなオーケストレーションと打ち込みのリズムにのって、幼児パワーが炸裂したみたいな戸川純の天衣無縫なボーカルが、ちょっと変なクリスマス気分を演出していて、これまた楽しいのだ。
という訳で、毎年このシーズンになると、この2曲は私の定番だったりするのだが、他に大貫妙子のひとりスウィングル・シンガーズ・スタイルで仕立てた「祈り」とか立花ハジメの「WHITE & WHITE」とかも楽しい。もちろん額縁になった御大2人の曲も悪くないし、ポップス的な3曲も良いアクセントになっている。ピエール・バルーのボサ・ノバ作品とか昔はちっともおもしろいと思わなかったが、さっき聴いたら、こういう「苦み」は昔はわからなかったんだろうなぁ....などと思いつつ、けっこう味わい深かったりもした。全体に気取りすぎなところはあるけれど、やっぱこのアルバム楽しめる。
上野耕路の提供した曲は、「Prerude et Choral」というオリジナルで、日本語にするとフランクの曲みたいな「前奏曲とコラール」といういかにもクラシカル然としたものだが、内容もシンセでオーケストレーションされているとはいえ、まったくのクラシック的なもので、ベルク的な粘着質で饐えたような世紀末な感覚、シェーンベルクの「浄夜」を思わす冷え切った夜の感覚や弦楽のダイナミズムなどなど、2分半ほどのスペースの中に私の大好きな新ウィーン的なムードがつめこまれていて、めっぽう楽しめる。
前記「前奏曲とコラール」をまさしく前奏曲的に配置して現れる、戸川純の「降誕節」もいい。いかにもクリスマス然としたドリーミーなオーケストレーションと打ち込みのリズムにのって、幼児パワーが炸裂したみたいな戸川純の天衣無縫なボーカルが、ちょっと変なクリスマス気分を演出していて、これまた楽しいのだ。
という訳で、毎年このシーズンになると、この2曲は私の定番だったりするのだが、他に大貫妙子のひとりスウィングル・シンガーズ・スタイルで仕立てた「祈り」とか立花ハジメの「WHITE & WHITE」とかも楽しい。もちろん額縁になった御大2人の曲も悪くないし、ポップス的な3曲も良いアクセントになっている。ピエール・バルーのボサ・ノバ作品とか昔はちっともおもしろいと思わなかったが、さっき聴いたら、こういう「苦み」は昔はわからなかったんだろうなぁ....などと思いつつ、けっこう味わい深かったりもした。全体に気取りすぎなところはあるけれど、やっぱこのアルバム楽しめる。
今夏にリリースされた戸川純3枚組ベストにこの曲も入っていたので改めて聴きました。
夢見るようなイントロに大正歌謡(昭和初期?)みたいなニュアンスも感じる戸川の歌がなんともミスマッチで、あんまり幸福感みたいなのが伝わってこないのが、非キリスト者のオレには潔く感じられました。
多分つきあい始めた頃の恋人の前では聴かないっすね(笑)。
自分的には戸川純名義と戸川純ユニット=○
ゲルニカとヤプーズ=△
ヒカシュー絡み=◎って感じかな?
>例えていえば、マイルスのとこでプレイするレッド・ガーランドは好きだけど、リーダー作となるとイマイチみたいなもんかなぁ。
ああ、確かにリーダー作になると2曲目には既に飽きて完全に作業用BGMになりますね。
シャッフルで1曲だけかかると、たまにもう少し聴きたくなったりするけど、後が続かないっス!
大笑いしてました
レッド・ガーランドではSOLARとか好きですけどねw
あぁ。ヒカシュー絡みってーか、井上誠さんのゴジラ伝説にゲスト参加した曲での彼女は全部いいですね。ただし、この場合はそもそも原曲が神がかっているので、誰が歌っても神々しくなっちゃうところもあると思いますが(笑)。「聖なる泉」もザ・ピーナッツに迫ってます。
この作品は10年も前に聴かせてもらったワケですが、その後井上さんとは旭川の近くにある東川で2度、音更で1度お会いして、ゆっくり話を聴かせていただく機会がありました。
音更の伊福部昭音楽資料室の映画音楽の楽譜はほとんど伊福部先生の許可をもらった上で、井上さん経由できたものです。
ついでにヒカシュー絡みと表記したのは、巻上公一のソロでも、まだゲルニカ無名時代の戸川純が参加していまして、「おおブレネリ」で神聖ムウ帝国亡国歌に通じるデュエットが聴かれます。
そういえば、そのうちのどれかなんでしょうが、
私も井上誠さんとお電話でお話させていただきましたね。
キンゴジとモスゴジの話とかさせていただきましたが(笑)。
あの後、夜中に音更に向かって真夜中の大雪山中を「ト・アイスクロン」を大音量で聴きながら走っていたら、タヌキに出くわして驚きました。翌年そのことを、井上さんに伝えたら、「ト・アイスクロン」は怖いですよねと笑っておられました。
非常に人当たりが柔らかい方です。