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ストロベリー・パス/大鳥が地球にやってきた日

2010年07月03日 23時59分46秒 | JAPANESE POP
 フライド・エッグの前段階として存在していた成毛滋とつのだひろのブロジェクト(更にその前にジプシー・アイズというバンドも存在していたらしい)。ギター&キーボード+ドラム&ボーカル、そしてベースの江藤勲がゲストで数曲参加という布陣で制作されたようだ。私はこれが出た当時、小学6年生くらいのハズだったが、10歳上の愚兄がロックファンだったせいで、自宅にはけっこういろいろなロックやジャズのアルバムがあったものの、さすがにこれは自宅になかったし、ミュージック・ライフや音楽専科などでも本作のことは、ついぞお目にかかった記憶もない。なにしろ私がその存在を知ったはここ数年という有様である。なので、本作は当然初めて聴く作品となる。

 録音は71年、音楽的にはクリームあたりをベースに、ジミ・ヘントリックス、ディープ・パープル(「ハッシュ」の頃)、プロコルハルム、ヴァニラ・ファッジ、クリムゾンあたりのテイストを加味した、当時の日本の洋楽受容状況をよく表した音楽となっている。メンバーがふたりという制限ある編成で録音されたためか、音楽のノリはやや箱庭的にちんまりしてしまっているが(当時、欧米に比べて圧倒的に遅れをとっていた日本の録音技術が、期せずして明らかになっているこの線の細い音質が、その印象を倍加している)、逆に成毛はそういう編成だったからこそ、ここではオーバーダビングを存分に駆使して、ギターとキーボードを披露している。

 収録曲では、「アイ・ガッタ・シー・マイ・ジプシー・ウーマン」はクリームやジミヘン風な作品で、「イエローZ」はブルース・ロック的な香りを発散しつつも、ソリッドな仕上がりで、成毛のギターも高いテンションにミック・ボックス的なギター・ソロを聴かせる。また、フライド・エッグの「グッバイ」でもライブ演奏されていた。「ファイヴ・モア・ペニー」「リーブ・ミー・ウーマン」は典型的な当時のブリティッシュ・ハード&ブルース・ロック的フレーズやサウンドが散りばめられた作品である。ともあれ、当時聴いていたら、これらはブリティッシュ・ロックの日本流のエピゴーネンに聴こえてしまったかもしれないとも思うのだが、もはや発売から40年、当時の流行やスタイルがすっかり洗い流され、スタイルとして古典化してしまった現在だからこそ素直に楽しめる音楽とも思う。

 一方、非ハード・ロック系のものとしては、「ザ・セカンド・フェイト」は誰が聴いてみプロコルハルムの「青い影」を思わせるクラシカル・テイストのインストゥルメンタル。「球形の幻影」のドラム・ソロをフィーチャーした作品だが、そのメロディックなセンスは意外にもマイケル・ジャイルズ臭かったりもりする。ラストのタイトル曲はかなりプログレ風の仕上がりで、アコギのアルペジオをバックにクラシカルなフルートをフィーチャーして進行するあたり、「風に語りて」か「エピタフ」かって雰囲気である。先のジャイルズ風なドラムといい、71年の日本でクリムゾンの影響がこれほどダイレクトだったとははある意味驚異ではある。

 最後に7曲目は、かの「メリー・ジェーン」のオリジナル・ヴァージョンだ。つのだひろの唯一の大ヒット曲というか(笑)、ある種ロック・スタンダードにすらなっているナンバーだが、オリジナルはこのアルバムに入っていたのを私は初めて知った。なんだか、見知らぬ街で、突然古い友達に再会したような気分である。改めて聴くと、アレンジに見事に歌謡ロックを先取りしていりするが、泣きのストリングスの響きがもろに歌謡曲してしまっているが惜しい。おそらく成毛はここではメロトロンを使いたかったに違いない。

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