この作品、基本的には前作「スウィート・リヴェンジ」に続編という、ポップな作品を作るというスタンスで製作されものだと思う。ただし、「スウィート・リヴェンジ」が音楽的にも非常に多彩で、全体にカラフルな仕上がりであったのに比べれると、こちらはそれが結果的にではあったにせよ、いささか生彩に欠く印象を受ける。なにやらしんみりした曲が多いし、アルバム全体がいささか低回気味なムードに支配され過ぎているような気がするのだ。1曲目の「美貌の青空」ではイントロで、いきなりインダストリー風にブチカマしてくれるが、曲自体はメランコリックな沈みがちなものであるし、2曲目「愛してる、愛してない」では、こともあろうに中谷美紀が呼んでおきながら、少女への憧憬が空転するような意味不明な作品になってしまっている。
と、まぁ、万事こうした調子の曲が続く。豪華に装丁された高級書籍のような風情で発売されたこのアルバムを勇んで購入してきたこちらは、いい面の皮である(笑)。今回、久しぶりに聴いて、ハタと気がついたのだが、この時期の坂本は「未来派野郎」以来、かれこれ10年近く続けてきたシーケンサー、サンプリング、ループといったエレクトリック・サウンドにいい加減、飽きてしまっていたのではないだろうか。その証拠といってはなんだが、このアルバムの後発表された「1996」は坂本流の室内楽であって、その後もピアノ・ソロだの、オーケストラだのと、「生音指向」が強い作品を頻発していくのである。そう思えば、この作品は、むしろ「スウィート・リヴェンジ」から「1996」へと向かう狭間に作られた過渡期に作品と考えると、なんとなく坂本ヒストリーでもなんとなく「座りの悪い」この作品もすっきりとするような気もする。もっとも、私は坂本流の室内楽は、あまりおもしろいと感じないクチなので、理屈で納得したからといって、この作品が俄然好きになったりする訳でもないのだが(笑)。
さて、ネガティブなことばかり書いているようだが、実はそうではない。この作品、なんだか沈痛な作品ばかり続くのだが、私にとって光り輝いている曲がある。それはラストの2曲、つまり「Rio」と「A Day In The Park」だ。この2曲だけは文句なく素晴らしい。「Rio」はSF的な空間の中、ゴスペル風な旋律が見え隠れする、なんだか「ブレイド・ランナー」でも観てるような気分にさせるスペイシーな曲なのだが、ピアノとシンセのアーシーなフレーズがエレクトリックな空間の中で静かに鼓舞する様は、問答無用な美しさを感じさせる。また、後者の「A Day In The Park」はAOR風なサウンドとファンキーなリフの繰り返しで構成された一見「普通の曲」だが、実は「普通の曲」バラバラに解体されたオブジェの曲であることは、この曲のメインのボーカルがないことでも一目瞭然だ。いやぁ、実に素晴らしい。という訳で、今夜も私はこの2曲だけを聴くためにこのアルバムをひっぱりだしてくるのだ。
と、まぁ、万事こうした調子の曲が続く。豪華に装丁された高級書籍のような風情で発売されたこのアルバムを勇んで購入してきたこちらは、いい面の皮である(笑)。今回、久しぶりに聴いて、ハタと気がついたのだが、この時期の坂本は「未来派野郎」以来、かれこれ10年近く続けてきたシーケンサー、サンプリング、ループといったエレクトリック・サウンドにいい加減、飽きてしまっていたのではないだろうか。その証拠といってはなんだが、このアルバムの後発表された「1996」は坂本流の室内楽であって、その後もピアノ・ソロだの、オーケストラだのと、「生音指向」が強い作品を頻発していくのである。そう思えば、この作品は、むしろ「スウィート・リヴェンジ」から「1996」へと向かう狭間に作られた過渡期に作品と考えると、なんとなく坂本ヒストリーでもなんとなく「座りの悪い」この作品もすっきりとするような気もする。もっとも、私は坂本流の室内楽は、あまりおもしろいと感じないクチなので、理屈で納得したからといって、この作品が俄然好きになったりする訳でもないのだが(笑)。
さて、ネガティブなことばかり書いているようだが、実はそうではない。この作品、なんだか沈痛な作品ばかり続くのだが、私にとって光り輝いている曲がある。それはラストの2曲、つまり「Rio」と「A Day In The Park」だ。この2曲だけは文句なく素晴らしい。「Rio」はSF的な空間の中、ゴスペル風な旋律が見え隠れする、なんだか「ブレイド・ランナー」でも観てるような気分にさせるスペイシーな曲なのだが、ピアノとシンセのアーシーなフレーズがエレクトリックな空間の中で静かに鼓舞する様は、問答無用な美しさを感じさせる。また、後者の「A Day In The Park」はAOR風なサウンドとファンキーなリフの繰り返しで構成された一見「普通の曲」だが、実は「普通の曲」バラバラに解体されたオブジェの曲であることは、この曲のメインのボーカルがないことでも一目瞭然だ。いやぁ、実に素晴らしい。という訳で、今夜も私はこの2曲だけを聴くためにこのアルバムをひっぱりだしてくるのだ。
ワタシは何故かスウィート・リベンジとスムーチー好きなんですよね
発売当時は教授スベッタなて思いましたが、最近結構聴いてますね
美貌の青空は女性シンガーに歌って欲しいけどね
新作も好きですけどポップへの挑戦もやめないで欲しいなぁ
私の場合、「スウィート・リヴェンジ」は大好きでして、「スムーチー」にはこれを期待したのがマズかったりのかもですね。今回、聴いて感じたのは、本文にも書いた通り、この次点で坂本の興味は、-意識的にそうであったかどうかは別として-既に「生音」の方に行ってしまっていて、この作品にはそういうところが、期せずして浸食してしまっているような気がします。そのあたりが、自分の期待との落差になってしまったんだろうなぁ....と思ってます。