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宇多田ヒカル/First Love

2005年04月27日 22時43分56秒 | JAPANESE POP
 日本だけで500万枚も売れたとかいうデビュウ作だが、500万枚といえば日本の人口の5%ではないか。つまり20人にひとりはこのアルバムを購入した勘定となる。おまけに500万枚売れたとしすると、レンタル数はそれを軽く上回っているハズだから、ざっと見積もって1000万人はこのアルバムを聴いたことになる。こういうアーティストのCDの購入層ということを考慮すると、スピードやELTより狭いハズだから、けだし凄い数字には違いない。

 さて、肝心の音楽だが、これはうまいところを突いたもんだ思う。一般的には「日本人によるR&B」といわれているよーだが、何度聴いてもやはりそういうものとは違うという気がする。やはりこれは歌謡曲、もしくはニュー・ミュージックと呼ぶべきもんだろう。まず彼女の声がやたら日本的なキャン・キャンした姉ちゃん声であるし、バックのアレンジも思わず128トラック全部埋め尽くさないと気が済まない、よろずや的にブリリアントではあるが、結局は平板な印象に終始する編曲からも明らかだ。よーするにサラサラとして、R&Bにありがちなコテコテ感が圧倒的に希薄な音楽である。 

 つまり宇多田ヒカルの音楽とはそういう枠内での音楽であり、「日本人によるR&B風な歌謡曲」だからこれほど売れたのだろう。丁度これは、10年位前のソウル II ソウルに端を発するブリティッシュ・ソウル・ブームの時に出てきたキャシー・デニスを思わせる。彼女も英国産エレクトリック・ソウル・ビートをバックに、ギャル声だが妙にソウルフルな歌い回しで、いわばブリティッシュ・ソウル・ブームの文脈で大ブレイクした人だったが、どうもあの時の感覚に近いのである。彼女の音楽も今聴けば、ごくごくフツーのブリティッシュAORだが、当時はグランド・ビートとギャル声の組み合わせは、「こういう応用編もアリなのね」と実に新鮮だった。つまり隙間産業だったワケで、今の宇多田ヒカルという人の音楽は、まさにそういうポジションにあると思うのだが....。

 そんな訳で、このところ宇多田ヒカル、愛聴しております。美人じゃないが、確かに歌は巧いし、声質も素直でいい。やはり上記隙間産業を成立させるには、このくらい素材が良くなくちゃ、絵に書いた餅になるってことですね。これで、もう少し曲のクウォリティが高ければ、云うことなしなんだけどなぁ。 (1999年7月17日)


※ 宇多田が始めた?「R&B風歌謡曲」はその後、沢山のエピゴーネンを生んで、一時日本のシーンを席巻しましたが、いつのまにやら「R&B風歌謡曲」も水増しされて、一般化してしまい<、ご本家の彼女の方もそれに連れてどんどん存在感があいまいになってしまっているような気がします。最近の「Exodus」は「R&B風歌謡曲」じやなくて、全曲英語で「モダンな本物のR&B」を目指したようですが、「なんか、違うんじゃねぇの」と思ったのは私だけでしょうかね。
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1 コメント

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TBありがとうございます♪ (若菜)
2005-04-28 17:52:03
今や960万枚にも上るそうですよこの売り上げにはびっくりです。

私より、詳しく考察してありますね。成るほど。

>Exodus

・・・モダンなR&B(あまり詳しくは知りませんのでご了承ください)確かに宇多田ヒカルらしくない曲だったなぁと思います。それを狙ってたのでしょうけど・・
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