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ピチカートV/ピチカート・マニア

2005年03月08日 00時00分00秒 | JAPANESE POP
  伊集加代のところで、「モンドは80年代のピチカート・ファイブあたりが出発点か?」みたいなこと書いたら、俄然聴きたくなってきたので、CDを何枚かひっぱり出してきた。今聴いているのは、彼らの最初期の活動をコンピレートした「ピチカート・マニア」というアルバム。ピチカートVというと、一般的には野宮真貴をフィーチャーしつつ、小西が仕切った後期の音楽が売れたし、有名だとは思うけど、個人的には佐々木麻美子、田島貴男が居た時期が好きだ。特に鴨宮諒のふんわりした曲を歌う佐々木麻美子が大好きだった。

 それにしてもピチカートVの登場ってのは、やっぱり出たかというか、でるべくして出たという感じだったよなぁ。なにしろ、あの頃はYMOが小池珠緒をフィーチャーしたシングルを出したり、スネークマン・ショーでは高橋と坂本のフランシス・レイばりのインストを入れてみたりと、欧州の映画音楽やボサノヴァ、バカラックといった、どちらかといえば粋人好みを非ロック系ポップをテクノにのっけて、モダンにやるというぼちぼち出始めていた頃で、先行したMIKADOあたりのヒットもあったし、下地は十分に整っていたというところだったと思う。「音楽オタクによる音楽オタクのためのポップ」として、「オードリー・ヘップバーン・コンプレックス」が出た。今じゃ、お笑いかもしれんが、あの頃はこのタイトルだけて、ヤラれてしまった人もいたんじゃないだろうか(笑)。

 ともあれ、「オードリー・ヘップバーン・コンプレックス」「アクション・ペインティング」といった12インチ・シングルでは、前記のような徹底してマニアックな音楽指向を、これまた徹底したアマチュアリズムで表現したところが新鮮だった。それを象徴していたのが佐々木麻美子のウィスパリング・ヴォイスだった訳で、音程のふらふらするいかにも素人くさい、だけど何故だかコケティッシュな雰囲気だけは濃厚という、実にチャーミングな声だったのだ。
 このアルバムは、上記2枚のシングルの他に同時期のレア・トラックを集めたアルバムで、「9月」と「ワッツ・ニュー・ピチカート」が入っているのがうれしい。前者は鴨宮の曲で、初期のピチカート特有のふわふわした感覚と旋律が佐々木のヴォーカルぴったりあっているピチカートの隠れた名曲。後者は一種のメガ・ミックスでわずか数分間で、彼らのモンド・ミュージック指向が凝縮された作品で、今聴いてその音楽密度は異様に「濃い」。


 PS:ところで「ワッツ・ニュー・ピチカート」の2分半くらいで登場する曲って、結局はリリースされなかったように思うんですけど、なんて曲なんですかね。アストラッド・ジルベルトばりの佐々木麻美子のスキャットが最高なんだけどなぁ。
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