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スティーブ・カーン/ザ・ブルー・マン

2007年05月25日 23時29分42秒 | JAZZ-Fusion
 スティーヴ・カーンというギタリストにはどうも縁がない。いやもちろん、いろいろところで名前を見かけるし、彼がセッションで参加したアルバムは沢山もっていたりもするんだろうけれど(例えば黄金時代のボブ・ジェームスの作品には常連だったし、先日取り上げたマイニエリの作品にも入っていたし、スティーリー・ダンなんかにも関わったはず)、いまひとつ「スティーヴ・カーンってこういう人」ってイメージが持てないのである。ギタリストというよりは、よくわからないけど、プロデューサーとかアレンジャーみたいなイメージが強いせいかもしれない。

 このアルバムは1978年のソロ第2作で、ちょっと硬派だが典型的なフュージョン・ギター・アルバムといった仕上がりだ。カーンのギターはよく伸びるちょっと官能的なトーンが特徴で、こうして彼を全面的にフィーチャーしたアルバムを聴くと、ああホブ・ジェームスの「白鳥」とかスティーリー・ダンの「グラマー・プロフェッション」で聴えてくるあのギターね.....という感じになる。曲としては1曲目の「デイリー・ブルス」がもう70年代後半のギター・フュージョンの美点を7分に集約したような曲で、聴いていて懐かしくなるやら、その豊富な情報量に感心するやらで、あっという間に聴き終わってしまう。ストリング・シンセの懐かしい響き、いかにもAORなシンコペが効いたリフ、都会的なクールさとホットなスピード感の混在などなど、実に聴きどころ満載なのである。ちなみに渡辺香津美の「トチカ」あたりは、このアルバムの音にかなり近いものがあるけれど、そう考えると「典型」ではなく、「典型をつくったパイオニア」なのかもしれないなどと考えたりもした。

 参加メンバーはブレッカー、サンボーン、ガッド、グロルニック、リーとステップス周辺のニューヨーク勢力が大挙して参加している。一種頂上セッションの様相を呈しているが、カーンはソロの垂れ流しで体裁を整えた安易なアルバムにせず、かなりきっちりと作り込んだ仕上がりにしているのはさすがだ。ブレッカー・プラザーズをフィーチャーした曲やアコスティック・サウンド、マイニエリをフィーチーした幻想的な作品などヴァリエーションが豊富なのも凄い。まさに70年代の名作という他はない仕上がりである。
 

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