78年の個人名義の作品で、「不思議の国のアリス」を題材としたジャズとしては、珍しいコンセプト・アルバム。この種の作品としてはソロ名義の「妖精」やRTFの最終作となった「ミュージック・マジック」、あとちょっと毛色は違うけれど「マイ・スパニッシュ・ハート」なんかが共通する感触があって、弦楽合奏やシンセのマルチ録音によるオーケストラ的なサウンド、女声のスキャット・ボーカルなどを導入して、従来のジャズの枠を拡大していくような指向は先の作品とよく共通していると思う。前にも書いたけれど、とにかくこの時期のコリアは創作意欲がみなぎっていたらしく、あれやこれやと思いついては、即アルバム化してしまうというパターンが続いていたので、いささか似たようなアルバムを乱発気味だったきらいないでもなく、このアルバムも前述の要素が音として出てくるにつけ、正直「またかい」と思ったりもするのだが、新味としてはアコスティック・ピアノがかなり大々的にフィーチャーされているあたりだろうか。
1,2,3曲目は、序曲的なオーケストラ・サウンドで、ミステリアスな雰囲気を奏でるシンセ・オーケストラとファンタジックなアコピの組み合わせが中々美しい。続いて室内楽風な弦楽とアコピのとりあわせで例によってバルトーク風、更に続くボーカルをフィーチャーした3曲目では新古典派風な乾いたユーモアが全面に出ているが、これはちとやりすぎか。この後、短いインターリュードをはさみつつ、フィーチャーされるのは、まず4曲目の「ハンプティ・ダンプティ」。アコスティック・バンドでもお馴染みのシャープなリズムのキメが登場するカッコ良すぎる名曲で、6曲目のボーカルがフィチャーされた「フォーリング・アリス」だが、結局は中間部のファレルのサックス・ソロあたりの高潮感がハイライトとなる。
後半は8曲目の「ディア・アリス」と9曲目「ザ・マッド・ハッター・ラプソディー」のふたつの大作がメインになっていて、前者は「フォーリング・アリス」と同タイプのミディアム・テンポでじんわり盛り上がる曲で、ここでもスティーブ・ガッドのドラムに挑発された各人のソロが熱い。後者はゲストのハービー・ハンコックをフィーチャーした作品で、ラテンのリズムにのって、キーボード・バトルが展開してスリル一杯。
という訳で、コリアのこの手のアルバムとしては、音楽そのものはかなり洗練されてるし、諸作の中では一番聴きやすい内容だと思うのだが、どうも曲の物語性みたいなものと、テンションの高いインプロってどうもしっくりこないなぁ。前にも書いたけど、やっぱこういうことをやるとなると、英国のロックバンドにはかなわない気がする。
1,2,3曲目は、序曲的なオーケストラ・サウンドで、ミステリアスな雰囲気を奏でるシンセ・オーケストラとファンタジックなアコピの組み合わせが中々美しい。続いて室内楽風な弦楽とアコピのとりあわせで例によってバルトーク風、更に続くボーカルをフィーチャーした3曲目では新古典派風な乾いたユーモアが全面に出ているが、これはちとやりすぎか。この後、短いインターリュードをはさみつつ、フィーチャーされるのは、まず4曲目の「ハンプティ・ダンプティ」。アコスティック・バンドでもお馴染みのシャープなリズムのキメが登場するカッコ良すぎる名曲で、6曲目のボーカルがフィチャーされた「フォーリング・アリス」だが、結局は中間部のファレルのサックス・ソロあたりの高潮感がハイライトとなる。
後半は8曲目の「ディア・アリス」と9曲目「ザ・マッド・ハッター・ラプソディー」のふたつの大作がメインになっていて、前者は「フォーリング・アリス」と同タイプのミディアム・テンポでじんわり盛り上がる曲で、ここでもスティーブ・ガッドのドラムに挑発された各人のソロが熱い。後者はゲストのハービー・ハンコックをフィーチャーした作品で、ラテンのリズムにのって、キーボード・バトルが展開してスリル一杯。
という訳で、コリアのこの手のアルバムとしては、音楽そのものはかなり洗練されてるし、諸作の中では一番聴きやすい内容だと思うのだが、どうも曲の物語性みたいなものと、テンションの高いインプロってどうもしっくりこないなぁ。前にも書いたけど、やっぱこういうことをやるとなると、英国のロックバンドにはかなわない気がする。
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