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マーラー 交響曲第5番/インバル&フランクフルトRSO

2007年02月15日 00時03分45秒 | マーラー+新ウィーン
 ここから初めて聴く演奏がけっこう出てきます。まずはインバルとフランクフルト放送響による国内のメーカー、デンオンで制作されたマーラー全集からの一枚。確かこれが第1作だったはずで(86年収録)、デンオン独自のデジタル&ワンポイント録音の優秀さがオーディオ・ファンを瞠目させ、演奏そのものの評価も高く国内の賞を軒並かっさらうという、かなりの話題盤だったよう記憶があります。もっとも、当時の私はデンオン・レーベルの出すインバルの新譜は高すぎて手が出ず、巷の評を読んではよだれを垂らしていただけったのですが、現在は超廉価ボックスセットで人気を博しているブリリアントに全集ごと組み込まれたおかげて、昨年だったかこのインバルによるマーラー全集をわずか5000円足らずでゲット、いゃぁ、いい時代なったものです。

 まぁ、そういうアルバムなので、こちらの関心もまずは録音ということになってしまうのですが、これは確かに素晴らしい録音ですね。20年も前の録音ですが、現在の感覚で聴いても今風な優秀録音として立派に通用する、豊かなホールトーンとあまり神経質にならない範囲での高解像度をもった、まさにナチュラルとしかいいようがない音質で、聴いていてある種の快感を感じます。私の場合、もともとロック・ファンだったことや、時期的に楽器に近接したマルチマイクで収録したハイファイ録音で育ったもので、ワンポイント(的なもの含む)録音というのは、時に芯のない曖昧な音と感じて欲求不満になってしまうこともあるのですが(リヴィング・プレゼンスは当然除く)、こちらはそのあたりをぎりぎりクリアしているという感じで、弦など多少遠い感じもしますが、確かにホールではこういう鳴り方をしているような気もしますし、テンシュテットのようにあまりに遠いという印象がないのがいいです。またテラークのような「厚いけど鈍い」という音ではなく、やけにさらさらとして透明感が高いのは日本人スタッフによる和風な感覚が反映したというところなのかもしれません。

 演奏ですが、これといってどこにも違和感のない「80年代の古典化した交響曲としてマーラーを振った演奏」の典型だと思います。鋭角的な印象はなくともリズムがしっかりとグルーブしている点、旋律はそれこそたっぷりと歌うが、情緒過多になる一歩手前でスマートに表現している点、昔の指揮者だとグロテスクに演奏しがちだった荒れ場をスポーティーな運動性に還元してしまえる点などなど、70年代のレヴァインあたりから始まったモダンなマーラー解釈の延長線に位置する感じが強いです。まぁ、ひとくちでいえば、テンシュテットほど情念的でもないが、レヴァインほどネアカでもないといったところで、これは良い意味でいうのですが、あらゆる面で過不足のないマーラー演奏といえるでしょう。60年代ハイティンクをモダンのリファインした演奏となどいったら、ハイティンクが好きな方に怒られるかもしれませんが、個人的には全集魔ということでどうもイメージだぶるんですよね(笑)。

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