Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

WINK / Flyin` High

2005年05月24日 21時36分03秒 | JAPANESE POP
 80年代の終盤から90年代にかけて日本のポップス・シーンで一世を風靡したウィンクのラスト・アルバムです。今調べてみたら、制作は1995年とクレジットされてますから、もう10年前の作品ということになる訳ですね。そんな前の作品なのかとちょいと驚いてます。これを出した時、確か相田翔子は25才ですから、今は.....うーん、時の経つのは本当に早い(笑)。

 さて、このアルバムのことを書く前にこのアルバムに至るウィンクの音楽についてちょいと振り返ってみると、最初期は意外にもオールディーズ路線、ユーロビート風なダンサンブル路線に変身して大ヒットさせた「寂しい熱帯魚」あたりでウィンク歌謡曲を確立する訳ですが、90年の「夜にはぐれて」からアレンジャーを船山基紀から門倉聡にスウィッチするあたりから、ニッポン歌謡曲の王道をいくスタイルに徐々に変貌させて、ウィンクの黄金時代を築くのは既にみなさんもご存じのとおり。実際この時期、年2枚のペースで発表されたアルバム群は、楽曲や編曲のクウォリティ、企画性といった点で、凡百の量産歌謡曲が太刀打ちできないクウォリティがありました。

 その後92年あたりからですか、それまでのAOR風歌謡曲から、60年代風なギター・サウンドやフォーク・ロック風なサウンドを導入して、音楽的にはかなりイメチェンする訳ですが、これが残念ながらほとんど売れず(狙いは良かったんですが、なにせ時期が早すぎました、パフィーなんかこの路線で売れた訳ですから)、ほとんどジリ貧状態になる訳です。

 で、このアルバムはそうした状況下で出された訳です。それまでの60年代風なサウンドをひっこめ、再びユーロ・ビート時代を思わすダンサンブルな歌謡曲の路線に戻って作られているのが特徴といえましょう。もっともユーロ・ビート路線といっても、時既に95年ですから、初期のそれとはリズムも音も様変わりして、冒頭の「Heavenが待っている」からソウル2ソウルみたいなグランド・ビートがびしばし聴こえてきますし、「ジャイブ・イントウ・ナイト」もデトロイト・テクノっぽい、かなりハードなリズムがフィーチャーされてます。

 こうした先祖返り的な変貌って、ある意味、当時の彼女たちの苦境ぶりを感じさせるのも事実ですが、客観的にみれば、極上のダンサンブル歌謡に仕上がったと思います。ところが、ここまでやっても、彼女たちの売り上げは復活しなかったんですね。このくらいクウォリティの高い、売れべき音楽を作っても、一度盛り下がった人気ははとりかえすことができない....。音楽シーンの残酷なところです。
 そんな訳で、このアルバム、まさに「ウィンクが最後に見せた光芒」といういうべき仕上がりで、ウィンク・ファンの私としては忘れられない作品です。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トミー・フラナガン/オーバ... | トップ | JANE MONHEIT / Takeing A Ch... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

JAPANESE POP」カテゴリの最新記事