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レーガー モーツァルト主題による変奏曲 他/デッカー&ニュージーランドSO

2007年10月15日 23時39分22秒 | クラシック(一般)
 多分、初めて聴くアルバム。ただし、新しく購入したものではなく数年前に秋葉の石丸かなにかで購入し、その後放置というお決まりの経過をたどったものだと思う。それにしても、こうやってみるとけっこうレーガーのアルバム買っているものである。これでレーガーのアルバムをレビュウするのも4枚目だし、これ以外にも購入後放置してあったアルバムも1,2枚はあるはずだから、前にも書いたとおり、「忘れられかけた後期ロマン派の最終ステージの巨匠」みたいなイメージで興味だけはあったのだろう。さて、このアルバムだが、ふたつの長大な管弦楽による変奏曲が収録されている。ひとつはタイトルに書いたモーツァルト主題によるもので、もうひとつは前回コリン・デイヴィスとバイエルン放送響の演奏でレビュウしたヒラー主題によるものだから、当然今回の興味は前者がどんな曲かということになる。

 「モーツァルト主題による変奏曲」はタイトル通り、モーツァルトの作品、具体的にはイ長調のピアノソナタ第11番「トルコ行進曲付き」の第一楽章の第1主題を素材とし、八つの変奏と大規模なフーガを掉尾に配置した構成になっている。素材となったモーツァルトのピアノ・ソナタは私自身は何度か聴いているはずだが、あまり印象の残っていない。ともあれ、まるで子守歌のようなしっとりした安寧な雰囲気を持ったものである。例によってこのテーマを様々な形で変容させていく訳だけれど、テーマの性質上そうなったのかもれないが、前回聴いたヒラーのものに比べると全般的に、緩徐楽章的ななだらか起伏で終始している感じで、時にクリスマスっぽいムードになったり、フンパーディンクの楽劇「ヘンゼルとグレーテル」みたいな幼年期ファンタジーと共通するような雰囲気をかもしだしたりもする。ヒラーのようにダイナミックなアレグロでがんがん進行するようなところはほとんどない。

 オーラスのフーガも、しずしずと、そしてゆったりと始まり、次第にスケール感豊かに盛り上がるものの、荒れ狂うようなところはほとんどなく、まるでビクトリア調の舞踏会みたいなエレガントな雰囲気で進んでいくのが、この曲の性格を如実に物語っているといえるだろう。つまり全曲を通じて、性格が一色で統一されている訳で、その意味では非常に聴きやすい作品だと思う。それにしてもレーガーって晦渋な作風というから、どんなにシリアスで、重厚長大な音楽かと思ったら、むしろコルンゴールド、それもサントラあたりと共通する分かりやすさ感じさせる音楽だということ分かる。この曲など、その最右翼といえようか。 
 

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