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マーラー 交響曲第5番/バルビローリ&ニュー・フィルハーモニアO

2007年02月18日 17時30分29秒 | マーラー+新ウィーン
 これまた昨日届いたもの....16種類目のマーラーの5番です。CD買いすぎて、破産しちゃいそうという個人的事情はさておくとしても、こうも毎日同じ曲を聴いていたんでは、いくらマーラーの5番とここ数年ご無沙汰だったとはいえ、さすがに食傷気味になってきました(実はもう一枚あるんだよなぁ-笑)。さて、この第9番の名演でお馴染みバルビローリが9番を振った翌年、つまり70年に本国イギリスのニュー・フィルハーモニア管弦楽団と組んで録音したものです。昔から「バルビローリのマーラーは9番だけよくて、あとのは弛緩してダメ」みたいな評価が多かったものですから、私としてはほとんど眼中になかった演奏だったのですが、HMVウェッブサイトでは『数多く録音されているマーラーの交響曲第5番のなかでも最も偉大な演奏と評価されている1枚です。』と、宣伝されいたこともあり、物は試しと購入してみました。

 実際、聴いてみると確かにかなり遅く感じますね。バルビローリはウィーンを振ったブラームスなんでもそうでしたけど、とにかく旋律をしっりと、時に涙を誘うほどに情感豊かに歌い、それがなんともいえずバルビローリ節を感じさせたりした訳ですけど、そういう特徴はここでも濃厚で、とにかく第1楽章のトリオや第2楽章の第2主題など、このカンタービレを聴いたら、クーベリックの叙情ですらザッハリッヒに聴こえるんじゃないかと思うほどに、哀愁たっぷりに歌っていて、その味わいは独特なものがありますが、その分、マーラー特有のデュオニソス的な荒れ場でもそういった指揮者のキャラクターが浸透してしまい、第3楽章はスケルツォ的あるいはウィンナ・ワルツ的なリズミカルさはあまり感じませんし、第5楽章なんかいくらなんでも遅すぎるんじゃないのと思うようなテンポで、正直ちょっと異様です。まぁ、この遅さのおかげてある種の克明さのようなものが結果的に出ていて、そのあたりはおもしろところかもしれませんけど、ある種の求心力不足を感じてしまうのもまた事実です。

 一方、絵に描いたようにバルビローリ向けな第4楽章では、曲が曲だけに逆に自分があれこれ手をかける必要もないと判断したのか、演奏時間も10分弱と短く、けっこうあっさりとしたプレーンな演奏をしていますが、さすがにバルビローリ、この曲の持つ薄明の美しさ、官能美のようなものを絶妙に表現しています。その美しさはさすしずめカラヤンと双璧といったところで、この楽章に限ってはそれまで感じた違和感のようなものはほとんどなく陶然と聴き惚れてしまいした。
 ちなみに音質ですが、リマスターのせいかもしれませんが、EMI流の神経質な音質だった9番やウィーンとのブラームスとはずいぶん違っていて、腰の据わった低音ががほどよく収録された、ホールトーン豊かなものになっています。そういえば、カラヤンがおなじ頃、EMIに録音したチャイコもこんな音でしたね。

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