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グッバイ・フライド・エッグ

2010年06月20日 13時57分42秒 | JAPANESE POP
 成毛滋、角田ヒロ、高中正義(この時期はベースを弾いていた)からなる1970年代初頭に活躍したしる人ぞ知るトリオ、フライドエッグのラスト・アルバム。A面ライブ、B面スタジオで構成されていて、タイトルといい、その寄せ集め感といい、クリームのそれを思わせる仕上がりである。音楽の方もロックといっても、ブリティッシュ・ニューロック&ハードロック・ムーブメントの極東支部といった感じであり、これが制作された1972年という時代の匂いがプンプンする音楽となっている。

 A面ライブの方はとにかく成毛滋のギターが堪能できる。この人が持っていた当時のブリティッシュ・ロックへの忠誠心というか、同化振りは尋常でなく、そのクウォリティは当時の日本では明らかに突き抜けていたことを感じさせる。当時、この人はこの種の音楽に対する理解度や表現力という点で、ほとんど孤高というか、長崎の出島的なポジションであったに違いなく、回りそのような人がほとんどいないという孤立無援なフラストレーションがあったと思われる(「521秒間の分裂症的シンフォニー」では他にやれそうな人がいないから、自らエマーソンやウェイクマンばりの鍵盤奏者になっているほどだ)。このライブではそうしたフラストレーションが一気に爆発し、まるで狂ったように弾きまくっているようなところすら感じられる。

 一方、当時の角田ヒロのドラムスもおもしろい。おそらくこの人のドラマーとしての立ち位置はブリティッシュ・ロックというよりは、もうすこしオーソドックスでジャズ的なものがあった人のように思えるのだが、成毛とは違った意味で、当時は「このくらい叩ける人はあの時彼しか居なかった」的な四面楚歌的なドラミングになっているのだ。例えは悪いが、「学校で一番うまいドラムを叩ける生徒」が、ブラバンから軽音楽サークル、そしてロックバンドまで掛け持ちしているような感じだったのだろう。ともあれ12分にも及ぶ「Five More Pennis」後半のエキサイティングにソロ・パートなど、その熱気といい、卓越した技術といい、当時、紛れもなくロック高進国だったニッポンで実現した白熱の記録といってもいいと思う。

 旧B面のスタジオ録音も充実した仕上がりだ。その完成度といい、テンションの高さといい前作「ドクター・シーゲルのフライド・エッグ・マシーン」を上回る仕上がりだと思う。ツェッペリンでもパープルなく、ユーライア・ヒープばりのリフやコーラス、クリムゾン風な抒情、そしてELP的なキーボードなどなど、当時の彼らのブリティッシュ・ロックへの十字軍精神というか気概、もしくはエリート主義のようなものまでよく表していて、聴いていると、今では文化として全く陳腐化してしまった「ロックに殉教する」的なカルチャーと熱気がひしひしと伝わってきて、実に懐かしい気分になる。


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1 コメント

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Unknown (tsukada)
2013-03-27 15:41:24
はじめまして。
フライドエッグ懐かしくて検索していたらこちらのブログにヒットしました。
FACEBOOKでシュアさせて頂きましたので、宜しくお願い致します。
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