ユジャ・ワンは中国出身で、現在23歳の若手女流ピアニストである。なんでも、ボストンのアルゲリッチの公演に代打で出演して大絶賛、その後にグラモフォンと契約という、絵に描いたようなデビューをしたシンデレラガールのような人らしい。私もそのことが気にかかって、昨年にN響の定期に登場した際のラフマニノフの「パガニーニ・ラプソディ」を弾いた時のパフォーマンスを録画で視聴したが、その不敵な面構えから繰り出される圧倒的なテクニック、ものおじしない思い切りのよさ、激しいテンペラメントと、現代にありがちな優等生とはちょっと異質な華を感じさせてくれる新人という感じで惹きつけられてしまった。このプログラムは先日NHKのBS2でオンエアされた2008年のヴェルビエ音楽祭のもので、今度はソロピアノによるステージであるので彼女のピアノを堪能できた。
特に楽しめたのはリストの「ピアノソナタ」で、これは圧巻であった。演奏技術を完璧に制覇した者のみが持つ天衣無縫な自在さに加え、あの晦渋な「ピアノソナタ」を実に華麗なるロマン派のピアノ曲として、演奏していたのは瞠目した。第2楽章では若い女性らしい瑞々しい感受性のようなもの発揮して、ややスリムではあるもののロマンティックさを披露したかと思えば、第三楽章のスケルツォでは豹のような俊敏さとを持った運動性でもって、頭がぐらぐらしてきそうな技巧を見せつけるといった具合で、その激しいテンペラメントとスポーティーな技巧の両立は、確かにアルゲリッチの代役として出てくるには相応しいキャラクターに感じた(中国の舞踏団でくるくる踊っていそうな、彼女のちょっとはすっぱなルックスがまたいい。ダイナミックな部分で歯を食いしばって、鍵盤を打ち付けている様はなかなか絵になるし、ロマンティックところで見せる陶酔的な表情もなかなか魅力的だ)次いで演奏されたショーピースの「熊ん蜂の飛行」(シフラ編曲って、ジョルジュ・シフラのこと?)も、女の細腕で豪快に弾きとばし、まさに若さ故のはじけるような推進力とスピードを感じさせる実に痛快な演奏だった。
後半のスクリャービンのピアノ・ソナタ第2番は初めて聴く曲だ。「幻想」というニックネームがついているが、第1楽章の瞑想的な趣から来ているのだろう。また、印象派風なところもちらほらする美しい音楽である。デモーニッシュな第2楽章は難易度の高そうな技巧が満載の華麗な音楽で、ここでも彼女はパンチの効いた爽快さで一気に弾ききっている。最後はラヴェルの「ラヴァルス」、例によって、彼女はこの難曲を非常に達者に弾いてはいるのだが、さすがにこの曲の持つ交響詩的なドラマ、例えば、雲の間に見え隠れする舞踏会の情景みたいなところだとか、世紀末風な退廃的な官能みたいなところになると希薄な感じもなくはない。まぁ、彼女の若さからすれば当然だろう。
そんな訳で、やはりリスト、そしてスクリャービンが良かった。彼女のデビュウ・アルバムはこの2曲がフィーチャーされているのが、それも当然という演奏だったと思う。このアルバム、購入してみようかな。ヒラリー・ハーン、アマンダ・ブレッカーに続いて、どうやら彼女のファンにもなりそう(笑)。
特に楽しめたのはリストの「ピアノソナタ」で、これは圧巻であった。演奏技術を完璧に制覇した者のみが持つ天衣無縫な自在さに加え、あの晦渋な「ピアノソナタ」を実に華麗なるロマン派のピアノ曲として、演奏していたのは瞠目した。第2楽章では若い女性らしい瑞々しい感受性のようなもの発揮して、ややスリムではあるもののロマンティックさを披露したかと思えば、第三楽章のスケルツォでは豹のような俊敏さとを持った運動性でもって、頭がぐらぐらしてきそうな技巧を見せつけるといった具合で、その激しいテンペラメントとスポーティーな技巧の両立は、確かにアルゲリッチの代役として出てくるには相応しいキャラクターに感じた(中国の舞踏団でくるくる踊っていそうな、彼女のちょっとはすっぱなルックスがまたいい。ダイナミックな部分で歯を食いしばって、鍵盤を打ち付けている様はなかなか絵になるし、ロマンティックところで見せる陶酔的な表情もなかなか魅力的だ)次いで演奏されたショーピースの「熊ん蜂の飛行」(シフラ編曲って、ジョルジュ・シフラのこと?)も、女の細腕で豪快に弾きとばし、まさに若さ故のはじけるような推進力とスピードを感じさせる実に痛快な演奏だった。
後半のスクリャービンのピアノ・ソナタ第2番は初めて聴く曲だ。「幻想」というニックネームがついているが、第1楽章の瞑想的な趣から来ているのだろう。また、印象派風なところもちらほらする美しい音楽である。デモーニッシュな第2楽章は難易度の高そうな技巧が満載の華麗な音楽で、ここでも彼女はパンチの効いた爽快さで一気に弾ききっている。最後はラヴェルの「ラヴァルス」、例によって、彼女はこの難曲を非常に達者に弾いてはいるのだが、さすがにこの曲の持つ交響詩的なドラマ、例えば、雲の間に見え隠れする舞踏会の情景みたいなところだとか、世紀末風な退廃的な官能みたいなところになると希薄な感じもなくはない。まぁ、彼女の若さからすれば当然だろう。
そんな訳で、やはりリスト、そしてスクリャービンが良かった。彼女のデビュウ・アルバムはこの2曲がフィーチャーされているのが、それも当然という演奏だったと思う。このアルバム、購入してみようかな。ヒラリー・ハーン、アマンダ・ブレッカーに続いて、どうやら彼女のファンにもなりそう(笑)。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます