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昭和21年制作の戦後第一作。主演は原節子、藤田進、杉村春子、大河内傳次郎など。滝川事件とゾルゲ事件をモデルとし、GHQが後押ししたある種の戦中弾圧を糾弾しかつ民主主義を礼賛するみたいな、戦意高揚映画の反動みたいな側面もある映画で、どうもこういう性質の作品だと、黒澤的な説教臭さが全開なような気がして(笑)、ずっと敬遠していた作品だが、先日、CATVで黒澤シリーズの一環として放映されたので観てみた。
前半は、戦前の学生運動に身を投じ獄死した男(藤田進)と彼を慕う娘(原節子)の物語で、ドキュメンタリー風に描写していくところなどなかなかモダンだが、ドラマ的な部分は-緩徐の起伏面とか-けっこう戦前っぽいムードも残している。まさに戦前と前後の端境期といった感じで進んでいく。舞台が東京に移って、原と藤田が夜の事務所で再会するシーンは、ふたりの秘めた情念がもの凄い緊張感の中でぶつかり合うある素晴らしく見応えのあるシーンである。
後半は男の故郷の農村に舞台が移行して、逆賊という汚名を着せられた実家で、村人の差別に合いながらも、農作業に悪戦死闘しながら従事していく原の姿が描かれている。これを演じる原の演技は、一種鬼気迫るものがある大熱演なのだが、どうも彼女のイメージとしてはそぐわない気がしないでもない。そのうち戦争が終わると、いつのまにか彼女は勤労農家のリーダーみたいになっているのだが、こういう明るい先生っぽいイメージは、普遍的な原節子に近くてほっとさせられる。
原節子は当時20代後半、前述の通り、黒澤の演出は非常に硬質だけれど、基本は「原節子の魅力で見せる映画」なのだと思う。正直いうと、私は原節子という女優さんには、イマイチ魅力を感じないクチなので、このいかにも戦前型のシリアスなインテリによる「自分探し」のみたいな役回りは、個人的に今一歩訴求力がない。正直言うと、この主人公独善的で、情緒不安定な行動には辟易するものを感じた。「何をコイツはこんなに苦悩してるんだ?」って感じである。
前半は、戦前の学生運動に身を投じ獄死した男(藤田進)と彼を慕う娘(原節子)の物語で、ドキュメンタリー風に描写していくところなどなかなかモダンだが、ドラマ的な部分は-緩徐の起伏面とか-けっこう戦前っぽいムードも残している。まさに戦前と前後の端境期といった感じで進んでいく。舞台が東京に移って、原と藤田が夜の事務所で再会するシーンは、ふたりの秘めた情念がもの凄い緊張感の中でぶつかり合うある素晴らしく見応えのあるシーンである。
後半は男の故郷の農村に舞台が移行して、逆賊という汚名を着せられた実家で、村人の差別に合いながらも、農作業に悪戦死闘しながら従事していく原の姿が描かれている。これを演じる原の演技は、一種鬼気迫るものがある大熱演なのだが、どうも彼女のイメージとしてはそぐわない気がしないでもない。そのうち戦争が終わると、いつのまにか彼女は勤労農家のリーダーみたいになっているのだが、こういう明るい先生っぽいイメージは、普遍的な原節子に近くてほっとさせられる。
原節子は当時20代後半、前述の通り、黒澤の演出は非常に硬質だけれど、基本は「原節子の魅力で見せる映画」なのだと思う。正直いうと、私は原節子という女優さんには、イマイチ魅力を感じないクチなので、このいかにも戦前型のシリアスなインテリによる「自分探し」のみたいな役回りは、個人的に今一歩訴求力がない。正直言うと、この主人公独善的で、情緒不安定な行動には辟易するものを感じた。「何をコイツはこんなに苦悩してるんだ?」って感じである。
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