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ハイドン 交響曲第49番『受難』/フィッシャー&オーストリア・ハンガリー・ハイドンPO

2010年06月30日 19時20分53秒 | ハイドン
 これも先の48番と同様シュトルム・ウント・ドランク期に属する作品のようです。ハイドンの交響曲は、番号順が必ずしもクロノジカルでなかったりしますが、40番台はすべてこの時期に集中しているので、比較的に考えやすいのがいいですね。
 また、短調の曲やニックネーム付きの曲が多いせいで、それぞれの曲に関して、比較的記名性が高いものが多いのが、親しみやすいものを感じます。本作にも「受難」というニックネームがついていて、受難曲風な宗教色と悲愴感のようなものが全体から漂う、短調の特性がよく出た印象深い作品になっています。

 第一楽章は敬虔で宗教的な雰囲気を持つアダージョ。冒頭楽章が急速調でないのは、既にハイドンでは、いくつかの前例がありますが、本作ではその宗教色の強さが特異な印象を受けもします。なんだかアレグロに先立つ序奏部を延々とやっているようなところもありますが、なにか宗教的な機会音楽として使用することが前提で、こんな様々の構成になったんでしょうか。なお、後半はかなり情熱的な高ぶりを見せます。
 ある意味、長大な序奏部といえないこともない前楽章を受けて、第二楽章はアレグロでぐいぐい進んでいきます。この楽章もヘ短調で書かれていて、この時期特有の疾走するような悲愴感があり、約6分半ほどをあまりの間、脇目もふらずに一気呵成に進んでいく様は、ちょっとモーツァルトの小ト短調的な心地よいシリアスさがあるような気もします。

 第三楽章のメヌエットもヘ短調で書かれています。いくらか宗教的な静謐さがあり、何カ所かでヴァイオリンの独奏がちらっと現れるのがアクセントになっているような気がしますが、いずれにしても、あまりメヌエットという感じがしません。むしろトリオになって、一転して牧歌的な音楽となるあたりで、ようやくこの楽章がメヌエットであったことを思い出させたりするほどです。
 第四楽章もヘ短調、つまりこの曲は全体がへ短調で統一されていることになります。それだけでもこの曲はかなり特異な構成といえると思います。この最終楽章は3分ほどの短い音楽ですが、第一楽章を更に急速にしたような趣きなせいか、なかなかのドラマチックさを感じさせ、聴いていると50年代後半のモノクロで作られたヌーベルヴァーグ映画を思い出させたりもします。

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