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吸血蛾 (中川信夫 監督作品)

2010年02月27日 16時38分09秒 | MOVIE
 横溝正史原作の同名作品を東宝が昭和31年に映画化した作品。原作は本格物とはちょっと違ったベクトルの通俗ミステリーらしいが(私は多分読んでいないと思う)、むしろこうした作品の方が映画の題材にはなりやすいのだろう(意外な真相という意味ではなかなかの物語だが)。フランス帰りのファンション・デザイナー、狼男、不気味な昆虫学者、狼憑きを絡めた陰惨な過去、狼男?、デザインの盗作問題、切断された足、連続殺人、二転三転する事件の展開などなど、華麗なる大道具小道具が散りばめられた作品になっている。
 金田一役は池辺良だが、キャラクター的にはガチな2枚目役で、ほとんど金田一というイメージはないが(映画の都会的なムードと併せて、どちらかというと「蝶々殺人事件」に出てきた由利先生の若い頃といったイメージか?)、なにしろ昭和30年代の映画といえば、出てくるのは正統派美男美女の時代であり、原作では風采が上がらない金田一でも、映画でこうなるのはある意味時代の必然だったのだろう。

 さて、この作品、現代的なリアリズムでこの作品を観ると、ストーリーも設定も穴だらけだし、舞台仕立てもチープそものである。しかし、このいかにも「昭和のキワモノ」した、B級なムードはちょっと後の新東宝の同じテイストを感じさせていかにも楽しい(監督は中川信夫だ)。もっとも、B級といっても、こちらには「新」がつかない大東宝の作品なので、そこそこに金はかかっているし(実際のモデルなんかも多数出てくる、セットもそこそこに豪華)、なにしろ、役者陣が池辺良を筆頭に豪華である。助演陣が当時の黒澤組ともいえる千秋実、東野英治郎、中北千枝子に加え、久慈あさみ、有島一郎、塩沢トキ、小堀明男、あと大村千吉といったお馴染みの人達が出てくるのだ。
 ついでにいえば、「宇宙大戦争」でお馴染み、安西郷子が清楚なモデル役で登場出てくるのは拾い物だった。私はこの人を「宇宙大戦争」以外には観たことがなく、常々他の作品ではいったいどんな風だったのだろうと思っていたのだが、ここでようやく観ることが出来たという訳だ。実際に観てみると、「宇宙大戦争」の3年前ということで、もう少し若い娘々した風情で、くだんの作品のように池辺良と恋人同士という訳でもなかったが、ちょっとエキゾチックなところは相変わらず、「日本のパラマウント」....東宝らしく、都会的な美貌を堪能できた。

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