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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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民主圧勝、政権交代へ

2009年08月30日 23時32分52秒 | others
 私は現在こそ自民党支持の保守的な人間だが、結党時の民主党についてはけっこうなファンであった。ただし、あれだけマスコミの応援を受けながら、ついぞ政権をとれる気配がなく、ひたすら運営が迷走し続け、無様なアクシデントが何度も続いた挙げ句、例のメール事件の時あたりをピークにして、「もう、こんな稚拙な連中に政権などまかせられるかぃ」と、最終的に見限ってしまったのであった。なので、今回の結果は多少はニヤリとするところあるものの、前述のメール事件の時とか、近いところでは西松献金の時みたいな、日頃自民を責め立てている時のご立派な筋論とは全く裏腹な対応をみていると、「どーせグデグデになって信用落とすのが関の山じゃねーの?」ってな、期待するだけ無駄的な諦め感の方が強い。

 とはいえ、どこかの某元総理ではないが、かの政党は政権とるために選挙前にずいぶんとおいしいことを沢山並べていったのだから、これをいったいどんなマジックで実現するのか?。また、今後すぐに目白押しの政治日程をさしあたってどう切り抜けるのか?。これまで予算をどう処理するのか?。ネックであろう外交、防衛、憲法問題が顕在化したら?。ついでに、かつての社会党なみに反対のため反対をしてきた民主に対する、あからさまな自民党の報復も始まること必定で(笑)、これらもろもろひっくるめて、今後一体どう政権運営をしていくのだろう?。

 いずれにしても今回の結果は、「世論が民主を支持した」というより、明らかに「自民政治の閉塞状況を打破したい」という民意なのだろうと思うから、民主が例のグデグデをさらけ出したりすれば、なにしろこの国の「振れやすい民意」はすぐ変わるハズで、政権とったはいいが、いきなりあぶない綱渡りを強いられることになる訳だ。そのあたりけだし見物....などといっては失礼だが、まぁお手並み拝見といったところである。まぁ、個人的にはこれが政界再編成につながってくれたりすれば....と希望したりしているのだけれど。

 それにしても、安部政権以来の(福田総理時は除く-笑)、椿事件の再現の如きマスコミのネガティブ・キャンペーンは実にひどかった。あれが適正な報道だというのなら、どうか次の総理に対しても、漢字の読み間違いだの、夜どこで飯食ってそれがいくらだのといった次元の些末な問題や、言葉尻をあげつらってブレたブレたとうれしそうに取り上げていた、愚劣なテレビのワイドショーだのなんだので、是非とも大々的にとりあげていただきたいものである。建前にせよ、なんにせよ公正中立を謳い、不平等を糾弾するマスコミならば、そうするのが筋というもんだろう。
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醜聞(黒澤明 監督作品)

2009年08月30日 18時43分17秒 | MOVIE
 先日観た「羅生門」の前作に当たる1950年の作品。こちらの松竹で製作されている。出演陣は三船、志村に加え、小沢栄太郎、左卜全、千石規子といったところで、まぁ、いつも布陣といってもいいような感じだが、今ひとりの主演格として山口淑子が出てくるのは松竹らしいところなのかもしれない。物語は次の時代劇の「羅生門」とも刑事物の「野良犬」ともかなり趣が違っていて、いわゆる「マスコミの暴力」がトリガーとなってこの物語がはじまる。大筋としては、旅先で出会った若い画家とオペラ歌手がたまさか同じ旅館にいたことから、カストリ雑誌によってゴシップ記事を書かれスキャンダルに....、やがてそれはカストリ雑誌を相手どった告訴にまで発展するが、当の画家が雇った弁護士は、人間的な弱さから被告側とも通じてしまう....といった、今に観てもかなりモダンなストーリーになっている。

 ともあれ、本編における「マスコミの暴力」はそれほど強烈なテーマになっていない。特に後半は志村喬扮するしょーもない弁護士の行状に振り回される主人公らが醸し出す人間くさいドラマが主眼になっているが、基本的にはそれほど深刻でも、醜悪でも、悲劇的な訳でもなく、主人公達もどっちつがずでうろうろしているようなところがあり、黒澤作品らしいドラマトゥルギーを期待していたこちらとしては、妙に淡々としているところが気にかからないでもなかった。
 また、後半はこの時代の映画としてはめずらしい裁判所が舞台となるが、主人公達の敗訴が決まりかけたところで、意外な展開となるあたりは、明らかにフランク・キャプラ風なバタ臭さがあって、意外なおもしろさを見せる。バタ臭さといえば、映画に登場するアイテムもバイク、画家、オペラ歌手、クリスマス・ツリー、クリスマス・パーティー、ほたるの光、星....などなど明らかに当時に日本映画らしからぬ舞台道具が揃っていて、この映画のバタ臭さを倍加していた。

 という訳で、一見したただけだが、個人的にはイマイチといったところか。昭和20年代中盤の風俗を観れるのは楽しいし興味深いのだが(昭和25年の日本でクリスマスという風俗があれほど普及していたのはちと驚き)、マスコミの暴力に対する怒りもきっかけに過ぎないし、弁護士を含む主人公達の行動がどうも終始ドラマ的に煮えくらない感じがして、今一歩盛り上がりに欠けるような気がするのだ。松竹の制作だから、アメリカ風で都会的なヒューマニズム作品を撮ろうとしたが、思いの外、黒澤的な苦味が出てしまい、そのあたりをうまく収束させることができず、ドラマとしてはちとメリハリがないものになってしまった....といったところかもしれない。
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