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異常性愛記録 ハレンチ(石井輝男 監督作品)

2009年08月06日 23時13分54秒 | MOVIE
 69年の東映作品、なにしろ、この凄いタイトル!からも分かるとおり、おそらく当時の成人映画であろう。最近、歳を取ったせいか、あれこれ昔を回顧するようなことが多くなってきたが、私の興味はもっぱら50年代後半から60年代前半くらいに向かっていた。ところがこのところ、大阪の万博に前後する数年間、つまり日本が行動成長期のピークとなった時期の風俗だの、世相だのに興味が沸々と湧いてきたところでもあり、なにしろこの時期といえば、東映だの、日活ではこの手のエロ物が隆盛を極めていた時代であったハズだし、ちょっとレンタルしてきてみた。

 監督は石井輝男、私は映画といえばもっぱら洋画ばかりを観てきたので、この監督のことは全く知らないのだが、ネットで調べてみると、なかなかエグイ作品をとっている監督らしい。内容的にはまさに「執拗かつ異常な性行為を強いる男と、彼に追い詰められるヒロインの攻防を描く」とwikiにある通り、一種のストーカー映画でなのだが、エロチック的な描写だとか、異常な性行為に関する描写は、なにしろ40年の前の作品なので、今の感覚で観るとたいしてエグい訳でも、露出が凄い訳でもない。今時ならテレビだってこのくらいはオンエアしてしまうだろうという感じ。エグイというなら、むしろ、目玉だの口だのが大アップになる異様にサイケな場面とか、冒頭の意味不明なシーンだとか方が、おもしろいし、カルト映画好きには喜ばれそうなエキセントリック感がある。

 ただ、観ていて思ったのは、今の感覚で観ると「どうしてこの女は逃げないのだ」というストーリー的に釈然としない思いはつきまとうだろうな....という点、特にこの映画を一種のカルト映画として観る若い世代ほどそうだろうと思う。これだけつきまとわれ、執拗に身体を求める男がいたら、今なら当然警察へ行くんだろうと思うが、40年前ともなると少々時代的な雰囲気が違っていたのではないだろうかと思うのだ。当時の女性観みたいな点に関していうと、「女は男に従っていくもの」みたいなところが色濃く残っていたハズであり、この映画なども当時残存していたであろう、こうした時代背景というか、雰囲気のようなものを前提にしないと、ストーリー的には違和感ばかり残ってしまうだろうと思った(逆にいうと、この40年いかに人権擁護が進んだかが分かるというものだ)。

 主演のストーカー男、深畑演じる若杉英二はまさに怪演だ。「さみしいんだよ~ん」とか「愛してるんだよ~ん」などと間の抜けた語尾でもって、主人公の女にむしゃぶりつく様は確かに今観てもかなりの変態である(笑)。一方、橘ますみは、こういう映画にはちょっと似つかわしくない清楚さ溢れる感じ美人さんで、おおよそバーのマダムなどやっているようには見えたりしないのだが、このキャラクタだからこの映画のようなストーカーも成立したという気がしないでもない。とにかく若杉の攻めの演技に対し、見事受けの演技で応えているという感じである。という訳で、なかなかおもしろい作品だ。また、ここで描き出された生活風俗だの、ファッションだのも、懐かしいやら、妙に鮮明に記憶が甦ってきたりで楽しかった。

 ちなみに、私はこの橘ますみって健気な女優さんのことを、いっぺんに気に入ってしまったので、他の出演作も観てみようと思って、ネットであれこれ調べてみたら(ちなみに同名のAV女優がいるので検索しずらいんだよね-笑)、けっこう露出度の高い作品ばかりに出ている人らしい。東映でいったら、さしずめ池玲子みたいなポジションにいた人なんだろうか?。さすがに女王池玲子は子供心にも覚えていても(笑)、この人のような地味なタイプだとあまり覚えてない。テレビドラマ、例えば「銭形平次」や、かの「プレイガール」などにこの人は、けっこう沢山出ていたようなので、ブラウン管ではきっとお目にかかっているハズなのだが....。
コメント (2)
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