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J. McLAUGHLIN Trio/Live at The RFH

2009年08月23日 16時32分32秒 | JAZZ-Fusion
 マクラフリンに、カイ・エクハルトのベース、トリロク・グルトゥのパーカスというトリオによる1989年のライヴ盤。エクハルトもグルトゥ初めて聞く人だが名前からしてインド系のミュージシャンだろう。特にグルトゥはドラムスではなく、あえてパーカスとクレジットされているあたり、これまでやってきたシャクティを含む一連のアコースティック路線のトリオ版かと思わせるものがあるが、出てくる音楽は、確かにそういう部分がないでもないが、全体としては「普通のジャズ」もしくは「オーソドックスなフュージョン」に近い。何しろ1曲目はマイルスの「ブルー・イン・グリーン」をボサ・ノヴァ風に料理したパフォーマンスなのである。80年代を通じてマクラフリンは比較的大所帯のバンド編成による作品ばかりを残してきたが、どうも「これだ!」という作品を残せなかった憾みがあり、ここは心機一転「最小限の編成で、自らのギターの可能を追求する」みたいな方向に舵をきったのかもしれない。

 収録曲では、2曲目の「Just Ideas/Jozy」はギター・シンセを使い、ミステリアスなムードを演出しつつ、妖しげに進行する作品で、その後のマクラフリン・ミュージックにはけっこうおなじみになるパターンである。3曲目の「Florianapolis」はアコギに持ち替えて、あえていえばシャクティ的な世界を展開している長尺作品だが、グルトゥのパーカスもドラムスのパターンに近いし、ベースはジャコ・スタイルだし、れるようなスピード感で演奏しているので、あれほど抹香臭い感じではない。後半4分ほどは火が出るようにホットな演奏である。4曲目の「Pasha's Love」の込み入ったリズムで処理されたテーマが印象的でこれまた後半はかなり激辛な盛り上がりをする。5曲目の「Mother Tongues」はギター・シンセ等も使い前半はジャム風な展開、後半は瞑想的になりギターとベースが繰り出すリフの上をパーカスのグルトゥが縦横に暴れる。ラストの「Blues for L.W.」は比較的オーソドックスで都会的なリラクゼーションを感じさせるプレイに始まり、その後とんでもない展開にもっていく。

 という訳で、いささかインプロがダレ気味なところはあるが、全体としてはなかなかおもしろい作品だ。やはり、この「おもしろさ」のキモは、パーカスのトリロク・グルトゥだろう。ドラムスっぽいプレイはいわずもがな、インド風に隙間を埋めていくパーカス、ラストの「Blues for L.W.」ではヴォイスまで使ってまさに暴れまくっている感じだ。この奇妙なハイテンション振りはやはりユニークとしかいいようがない。マクラフリンはこういう人見つけてくるが実にうまい。このトリオはこのあとベースをチェンジして、スタジオ録音も残すのだけれど、このパーカスならさもありなんである。はて、そちらはどんな内容なのだろう?。
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