ヴィーナス・レーベルでデビッド・ヘイゼルタイン・トリオはかなりの数のアルバムを出しているが、この作品は確か2004年にリリースされた3作目である。第1作は2年ほど前に取り上げた、ビル・エヴァンス縁の曲を演奏した「ワルツ・フォー・デビー」だったが、今回はそれと同じベースにジョージ・ムラーツ、ドラムスがビリー・ドラモンドというリズム隊を従えたフォーマットによる、やはりエヴァンス絡みの曲を演奏集だから、ほぼあれの続編といってもいいと思う(ちなみに2作目の「パール」はワン・フォー・オールのメンツからピアノ・トリオだけ抽出したような作品だった)。
演奏スタイルは、ほぼ「ワルツ・フォー・デビー」と同様で、ビル・エヴァンスのような印象派風な色彩、耽美的なムードはないけれど、往年のエヴァンス・トリオ的なベースをフィーチャーしたインタープレイも随所に取り入れたオーソドックスな演奏である。なにしろ、相方がムラーツとドラモンドだからしてリズムは安定感抜群、そこにヘイゼルタインのフレージング、リズムの切れ、ブルース的な香りなどなど、ジャズ的感興には事欠かないプレイがのるから、全体は非常に聴きやすい仕上がりになっている。いずれにしてもヴィーナス・レーベルらしい「日本人が好む最大公約数的ジャズ」趣味がよく出た作品だ。
タイトル曲や「星に願いを」は上品でエレガントな曲で、アルバム中でももっともエヴァンス・トリオ的な作品になっているが、これがヘイゼルタインらしいのかといえばちょっと躊躇するところもないでもない。また耳タコの「枯葉」はいきなりベース・ソロに始まる絡め手のアレンジ。さしあたって「ビューティフル・ラブ」「愛は海より深し」「テンダリー」3曲あたりが、演奏のテンションといいアルバム・コンセプトからいっても聴き応えある作品のような気がした。また、ピアノ・ソロで演奏される「ダニー・ボーイ」の抒情もなかなかである。
それにしてもデビッド・ヘイゼルタインという人、音楽のシチュエーションや製作サイドの狙いや要求に応じて、とても的確、かつ過不足のないプレイをする人である。従ってこういう「日本発洋楽ジャズ」にはまさにぴったりの人選だとは思うのだが、極上のBGMたり得るが、スタンダローンなジャズとして聴くには、今ひとつ「決め手に欠く」ような気がしないでもない。器用さをセールスポイントにするのではなく、たまには「いきりたったヘイゼルタイン」が聴ける、例えばライブ盤を企画してみるというのも悪くないのではないか。
演奏スタイルは、ほぼ「ワルツ・フォー・デビー」と同様で、ビル・エヴァンスのような印象派風な色彩、耽美的なムードはないけれど、往年のエヴァンス・トリオ的なベースをフィーチャーしたインタープレイも随所に取り入れたオーソドックスな演奏である。なにしろ、相方がムラーツとドラモンドだからしてリズムは安定感抜群、そこにヘイゼルタインのフレージング、リズムの切れ、ブルース的な香りなどなど、ジャズ的感興には事欠かないプレイがのるから、全体は非常に聴きやすい仕上がりになっている。いずれにしてもヴィーナス・レーベルらしい「日本人が好む最大公約数的ジャズ」趣味がよく出た作品だ。
タイトル曲や「星に願いを」は上品でエレガントな曲で、アルバム中でももっともエヴァンス・トリオ的な作品になっているが、これがヘイゼルタインらしいのかといえばちょっと躊躇するところもないでもない。また耳タコの「枯葉」はいきなりベース・ソロに始まる絡め手のアレンジ。さしあたって「ビューティフル・ラブ」「愛は海より深し」「テンダリー」3曲あたりが、演奏のテンションといいアルバム・コンセプトからいっても聴き応えある作品のような気がした。また、ピアノ・ソロで演奏される「ダニー・ボーイ」の抒情もなかなかである。
それにしてもデビッド・ヘイゼルタインという人、音楽のシチュエーションや製作サイドの狙いや要求に応じて、とても的確、かつ過不足のないプレイをする人である。従ってこういう「日本発洋楽ジャズ」にはまさにぴったりの人選だとは思うのだが、極上のBGMたり得るが、スタンダローンなジャズとして聴くには、今ひとつ「決め手に欠く」ような気がしないでもない。器用さをセールスポイントにするのではなく、たまには「いきりたったヘイゼルタイン」が聴ける、例えばライブ盤を企画してみるというのも悪くないのではないか。