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The Best Of Mark-Almond

2009年08月13日 00時48分18秒 | ROCK-POP
 マーク・アモンドは大好きなバンドである。マーク・アモンドは70年代前半にイギリスでデビューしたジョン・マーク(ヴォーカル)とジョニー・アーモンド(サックス)による変則的なコンビで、ミもフタもない形容をしてしまえば、「苦みばしったジャズ風味が濃厚に効いた一種のフォーク・ロック」みたいな音楽をやっていた。ただ、ありがちな複合音楽ではなく、異様に虚脱して、冷え切ったような倦怠感が横溢したその音楽は、当時(多分、今も)ちょっと他に比べるものがないような独特のムードをもっていて、それ故かなり通向きな孤高の作品として、知る人ぞ知るというバンドだったように記憶している(ミュージック・ライフなんかには、小さいけれどちゃんと広告はのってましたけどね)。

 私が最初に購入した彼らのアルバムは、初期のアルバムからピックアップしたベスト盤だった。ジャケットの一角がカットされた米盤で、しかも中古盤をたぶん千葉のディスク・ユニオンで500円くらいで購入してきたように記憶している。当時、10代後半のガキが、よくぞこんなアルバムを購入したものだと、今では妙に感心したりもするが(笑)、きっと、アルバム冒頭に収録された「The City」という比較的大規模なメドレーの評判でも、音楽雑誌かなにかで聞き及んだのだろう。
 で、これを購入して初めて聴いた時の異様な感触は忘れられない。まず、「これは、なんと陰鬱で、冷え冷えとした音楽なのだ!」という拒否感に近いものを感じるものの、何度か聴いているうち、フォーク的なモノローグのようなボーカルとジャジーなセンスに裏打ちされた趣味の良いサウンドでもって、都会的な寂寥感を見事に表現した音楽に、いいようもなく魅了されてしまったのだ。

 ところが、私が持っている彼らのアルバムは長いこと、このベスト盤だけだった。レギュラー・アルバムも当然欲しかったが、なにしろ80年代に彼らの音楽は完璧なオールドウェイブになっていたので、カタログはおしなべて廃盤だったのである。なので、このアルバムをずいぶん繰り返し聴くことになった。なにしろ、彼らの全アルバムをCDで揃えることができたのは、はるか後年、それこそ21世紀にはいってからだ。かような次第で、私の場合、マーク・アモンドというとなんといってもこのベスト盤なのである。一曲目は「The City」。ボサノバやジャズをベースにドラマチックに仕上げた代表曲である。2曲目はオリジナル・アルバム通り、痛ましいほどの沈痛さが逆に異様に美しさを醸し出す「Tramp And The Young Girl」が続き、3曲目「One Way Sunday」でほのかに明るく希望をのぞかせてA面が終わるという構成はさながら、それ自体が組曲のようで、ふとしたきっかけで今聴いているところだけど、やはり何度聴いても素晴らしい。

 という訳で、これもいいきっかけかもしれない、数年前購入し、ひととおりさらっと聴いて、放置したままになっている彼らの全アルバムをクロノジカルに(彼らの後期のヒストリーには、意外な人脈が沢山登場するのも興味深いし)、きっちりと聴いてみる時期がきたかな?....などと思っているところである。


Title: The Best Of Mark-Almond(1973)

1. The City
2. Tramp And The Young Girl
3. One Way Sunday

4. The Ghetto
5. Song For You
6. Friends
7. Solitude
コメント (3)
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