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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ELIANE ELIAS / Everything I Love

2006年08月25日 22時52分59秒 | Jobim+Bossa
「キスド・バイ・ネイチャー」「海風とジョビンの午後」の間に発表された2000年の作品。「キスド・バイ・ネイチャー」のところでも書いたとおり、彼女はこの作品を最後にブルーノートを離れてBMGに移籍して、音楽的にもかなり変貌することになるし、「海風とジョビンの午後」は一種の企画物みたいなヴォーカル・アルバムだったので、このアルバムは実質的にブルーノート時代の総決算ということになるのもしれない。メンツ的にはエディ・ゴメスとピーター・アースキンが消え、これまでの2つのトリオがエリアス、ジョンソン、デジョネットという布陣のトリオに統合され、エリアス、カール・アレン、クリスチャン・マクブライドによるトリオが新たに加わったという格好だ。

 音楽的には従来通りのピアノ・トリオ路線だが、今回は何故か非常にジャズ色が強いのが特徴だろう。それまではジャズのピアノ・トリオをベースにしつつもボサノバやジョビンがかなり濃厚に見え隠れしていたが、こちらはアメリカン・大スタンダードをメインに据え、いわばキース・ジャレットのスタンダーズばりの音楽に挑戦しているといったところなのである。「If I Should Lose You」「Alone Together」「Autumn Leaves」は、いずれもスタンダーズが取り上げた作品ということもさることながら、トリオによるインプロビゼーションからかの曲になだれ込んでいく構成をとっていて、このあたりも実にスタンダーズ的....というか明らかに意識している感じである。もっとも彼女はエヴァンス~ジャレットの系列にあるとはいっても、もう少しラテン的な明るさとしっとりとしさフレージング、そしてある種の上品な軽さようなものがあるので、別の物まねになっている訳ではないが、やはりそれまでのブラジルによりかかった音楽を考えればかなりジャズ度ではあると思う(ステップスなどではいつもこんなだったんだろうが....)。とはいえ、彼女がその後、この方向にぐっとシフトしたといえは、そうでないのは冒頭に書いたとおりであり、やはりこれは一種の卒業アルバムみたいなもんだったんだろうと思うのだが、どうだろうか。
コメント
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