”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

災い転じて本枯れ節

2015-03-13 10:22:14 | だし

昨日、全国各地から集まっただしソムリエの皆さまと

焼津でかつお節の製造工程を見学させていただきました。

  

私は、今回の見学は2回目なのですが、

前回見ることのできなかった

大変貴重なものを見せていただきました。


   

それは、カビです。

  

 

突然「カビ」と言われても、

何のことかわかりませんよね。^_^;

カビのお話に入る前に、

簡単にかつお節の製造工程を説明させてください。


  

 

原料となるかつおを3枚におろし、

それを熱湯で煮ます。

    ↓

その骨を取り、形を整えたら、

クヌギやナラを燃やした煙でいぶし、乾燥させます。

この作業は、1回に付き5~7時間。

これを10回~15回繰り返します。

    ↓

こうしてできたものが、荒節です。



     ↓

荒節の表面についたタールなどを削り取ったものが裸節。

これを削ると、スーパーでよく見かける「花かつお」になります。


  

ここまでの作業で1ヶ月ほどかかります。


  

  

そして、そして、この裸節に「カビ付け」をして、

日に干すという作業を繰り返すと、

枯れ節(カビ付け2回以上)、本枯れ節(カビ付け4回以上)

となって行くのですが・・・。

  

このカビ。

実は、偶然の産物だったのです。


  

   

江戸時代末期、荒節を関西から関東に運ぶ途中のことです。

まだ、保冷技術も進んでいない時代ですから、

カビが発生してしまいました。

そこで、そのカビをきれいに落とし、

日に干して使ってみたところ、

おいしいおだしがとれた・・・。


これが、かつお節菌の発見の第一歩だったそうです。



  

現在、かつお節に噴霧しているカビ菌は、

にんべんさんが開発した優良カビ菌で、

日本全国、同じ菌で統一されています。


  

では、カビが付いた状態のかつお節をご覧ください。



  

  

拡大版もどうぞ。



  

   

荒節に生えたカビを見つけた江戸時代の人は、

きっと大慌てだったことでしょう。

でも、それがきっかけで、

上品なだしがとれる枯れ節、本枯れ節が生まれたのです。

  

  

私たちの周りも、

一見、失敗と思えるようなことから

成功への道がつながっているのかもしれませんね。 (*^_^*)



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