昨日、全国各地から集まっただしソムリエの皆さまと
焼津でかつお節の製造工程を見学させていただきました。
私は、今回の見学は2回目なのですが、
前回見ることのできなかった
大変貴重なものを見せていただきました。
それは、カビです。
突然「カビ」と言われても、
何のことかわかりませんよね。^_^;
カビのお話に入る前に、
簡単にかつお節の製造工程を説明させてください。
原料となるかつおを3枚におろし、
それを熱湯で煮ます。
↓
その骨を取り、形を整えたら、
クヌギやナラを燃やした煙でいぶし、乾燥させます。
この作業は、1回に付き5~7時間。
これを10回~15回繰り返します。
↓
こうしてできたものが、荒節です。
↓
荒節の表面についたタールなどを削り取ったものが裸節。
これを削ると、スーパーでよく見かける「花かつお」になります。
ここまでの作業で1ヶ月ほどかかります。
そして、そして、この裸節に「カビ付け」をして、
日に干すという作業を繰り返すと、
枯れ節(カビ付け2回以上)、本枯れ節(カビ付け4回以上)
となって行くのですが・・・。
このカビ。
実は、偶然の産物だったのです。
江戸時代末期、荒節を関西から関東に運ぶ途中のことです。
まだ、保冷技術も進んでいない時代ですから、
カビが発生してしまいました。
そこで、そのカビをきれいに落とし、
日に干して使ってみたところ、
おいしいおだしがとれた・・・。
これが、かつお節菌の発見の第一歩だったそうです。
現在、かつお節に噴霧しているカビ菌は、
にんべんさんが開発した優良カビ菌で、
日本全国、同じ菌で統一されています。
では、カビが付いた状態のかつお節をご覧ください。
拡大版もどうぞ。
荒節に生えたカビを見つけた江戸時代の人は、
きっと大慌てだったことでしょう。
でも、それがきっかけで、
上品なだしがとれる枯れ節、本枯れ節が生まれたのです。
私たちの周りも、
一見、失敗と思えるようなことから
成功への道がつながっているのかもしれませんね。 (*^_^*)
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