各国のトップが集まる首脳会議なるものは国際政治の場において大変重要な役割を持っているものと思われます
したがいまして、国際政治の現場とは無縁なGGIをはじめとした一般市民は、首脳会議と申しますと、なんとなく大そうなものをイメージしてしまいます
大きな立派な会議室、大きな立派なテーブルを挟んで、各首脳が決められた席にき、各国の首脳の後ろにはお付の大臣や高級官僚らが座わります。各国の首脳は言葉を選びながら、国益を守るべく、やや緊張した面持ちで自国の主張を述べる・・・
といった感じの堅苦しいイメージをGGIは持ってしまうのですが、昨日の夕刊(7月8日、朝日新聞)に掲載されていた「ユーロ圏首脳会議」の写真を見まして、すっかり拍子抜けしてしまいました
今日の写真は夕刊に掲載されていた、ユーロ圏首脳会議を前に集まった首脳たちの写真を撮ったものです、経済破綻の危機に瀕しているギリシャとこれまでギリシャを経済的に支援してきたEU諸国との会議です、クリックして写真をご覧くださいませ
写真の説明に「首脳会議を前に集まった」と記されていますので、会議開始前の報道陣に公開したときの写真でありませう
この写真を目にしてGGIはまったく拍子抜けしていました、議題はギリシャの経済破綻という深刻な問題なのに、首脳会議にありがちなものものしい緊張した雰囲気がまったく感じられないからです、
みなさん久しぶりですね、まあ今日はコーヒーでも飲みながら話し合いしませうか、といった感じしか伝わってきませぬ
何に拍子抜けしたかと申しますと、まずは首脳会議の会場です、写真からしますと、この会議場、どうみても普通のオフィスビルの会議室にしかみえませぬ、テーブルもどこにでもありそうな会議用のテーブルに過ぎません
そして首脳たちは席についていますが、どうやら席が指定されているわけではなく、めいめい好き勝手に適当に席を選んで座っているようであります、ドイツのメルケルさんは、あの聞き分けのないやんちゃ若造、ギリシアのチプラス首相のすぐ隣には座りたくないのでありませう、少し彼から距離をおいて座っています、フランスのオランド大統領、おれもあの調子のよい若造の正面ではいやだけど、まあしょうがないかという表情であります、
そして一番窮地にあるはずのチプラス君、国民投票に勝った余勢をかってか、明るく白い歯をのぞかせて快活かつ喜々とした笑みを浮かべております、まるで今日は愉快でたまらんという感じであります
EUのさらなる支援を求めるならば7月9日までに財政改革案を示せと各首脳から迫られているのに、このチプラス君の明るさ、彼がいかに若いとはいえ(41歳)、チェ・ゲバラを崇拝しているとは言え、この明るさはいったい何なのでありませう!!
みなさんコーヒーを口にしているようですが、テーブルにはコーヒーのポットの他にペットボトル、ミルクの容器、何か小さなお菓子?が入っているのではないかと思われる小さなお皿・・・
みなさん、お好きなものを気楽にどうぞ、コーヒは縁了なくご自分でポットからどうぞ、お水のほうが良い方はペットボトル、などと極めてお気楽なと申しますか、要するにまことに気取りのない、これから厳しい話し合いが始まるとは思えない雰囲気であります、フランクと言ってもいいぐらいであります
重大かつ困難が予想される首脳会議であるというのに、なぜこのよう穏やかとでもいえる気取りのない雰囲気が漂っているのでありませうか
それはユーロ圏の首脳たちは互いに物理的にも距離感があまりなく、非常に親しいとは言えないまでも心理的にも距離感をあまり感じていないかというか、むしろ一種の一体感を互いに抱いているからではないかというのがGGIの推測であります
まあ、はっきり申し上げて、この写真、仲間内の気楽な会議という印象を拭えません、おれたち、どっちみち共通の文化を持つユーロ圏の仲間、まあ、そう目くじらを立てずに話し合いませう、それにしてもなあ、あのお調子もののチプラスの若造め、今日は何とか説得しなければなあ・・・・でもメルケルさん、あんたちょっとギリシャに厳しすぎるんじゃない?何言ってるのですがオランダさん、あなたは脇が甘いし、だからあのチプラス小僧が反省しないのよ・・・いや、みなさんご安心を、ギリシャは永遠です!アッハッハ、今日を愉快だなあ・・・
しかし報道陣を締め出して会議が始めれば、おそらく首脳会議にありがちな儀礼的・形式的な議論ではなく中身のある実質的な議論が丁々発止と交わされるのでありませう、メルケルおばさんあたりが、息子位の年齢のチプラス君に歯に衣をきせずにものを言うのでありませう
このような情景を目にしますと、何もアベ君だけが悪いのではありませぬが、アジアでの中国や韓国、台湾、東南アジアの諸国と日本による首脳会議で、このユーロ圏首脳会議のような雰囲気が生じるに至るには、まだまだ長い年月が必要とされるであろうなどと思ってしまいます
それにもうひとつ驚きましたのは、このユーロ圏首脳会議が開かれたのと同じ日に(7月7日)、これまた元気一杯のフランスが誇る若き経済学者ピケティ氏らが「ギリシャの債務を棒引きしてやるべきだ」という公開書簡をメルケル首相に出していたことでした(8日の夕刊の別のページに報じられていました)
ピケティ氏曰く、「ギリシア政府は銃を頭に突き付け、引き金を引くよう求められている」「欧州がギリシアに強いてきた経済緊縮政策は1930年代以来見たこともなかった大恐慌をもたらしただけだ」「欧州が1950年代、特にドイツに対し債務を免除したことが戦後の経済成長を動かし、平和と民主主義の基礎を築いた」・・・
他国の首相に対してこのような直言を行う・・・このような行為が可能であるのも、欧州諸国が同一の政治文化圏に属しており、互いに開かれた関係にあることの証拠でありませう
アベノミクスに対してどこか外国の経済学者がピケティ氏のように直言したならば、日本の政界では、よけいなお世話、内政干渉などとして邪けんに扱われてしまうだけでありませう
などなど、今日の写真とニュースは欧州と日本・アジア、彼我の政治や文化の土壌の違いをいたく感じさせるものでありました
グッドナイト・グッドラック!