UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

「特別訴答」(special pleading)と言う名の幼稚な弁解・・・

2015-04-21 01:14:57 | 日記

むかしむかし、GGIが御幼少のころ、すなわち先の大戦の敗戦直後、こんな戯れ唄を大人が口にしていたことをよく覚えております

 すずめ、めじろ、ロシヤ、野蛮国、クロポトキン、金の玉、敗けて逃げるはチャンチャン坊、棒で叩くは犬殺し、シベリア鉄道長けれど、土瓶の口から吐き出せば、バルチク艦隊全滅す→すずめ・・・・・

 日露戦争のときの乃木将軍凱旋を祝ったとされる、無限循環の戯れ唄であります、チャンチャン坊というのは中国人のことです、いまから思いますと、なんとも凄まじい内容でありますが、戦前の多くの日本人の「歴史認識」を示しているのかもしれませぬ

 近ごろ、アベ君をはじめ政治家やその周辺の人物たちの歴史認識とやらが何かと世間を騒がせ、ときには国際問題となっていますが、戦前でもまともな歴史認識を持っていた政治家はいたというのが今日のお話であります

 その一人が松岡洋右という人物です、松岡洋介と言えば、国際連盟脱退に際して大演説をぶったり、後に日独伊三国軍事同盟を締結したりしておりますので、日本の現代史では評判が必ずしも芳しいとは言えない人物でありますが、実は彼は第一次大戦の終戦処理であるパリ講和会議における日本政府の態度について、すこぶるまっとうなことを言っているのです

 日本は第一次大戦では英米などの連合国として参戦しました。ドイツ(敗戦国)が租借地としていた中国の山東半島を「中国に返還するの目的を持って」日本は参戦したはずなのですが、開戦の翌年、1915年5月、「二十一か条要求」なるものを中国の袁世凱に勝手に突き付け、山東に関する条約というものを無理やりでっちあげたと、日本はパリ講和和会議で世界から、特に中国やアメリカから強い批判をあびました。中国に返還すると称してドイツから奪ったのに、結局は自分のものにしてしまったからです。

 松岡洋右はこのパリ講和会議に日本政府の報道主任として参加していたのですが、彼はパリ講和会議が終わってから、牧野伸顕に次のような手紙を書いています

 「いわゆる二十一カ条要求は(日本政府が)論弁を費やすほど不利なり。そもそも山東問題は、とうてい、いわゆる二十一カ条要求とこれを引き離して論ずるにあたわず。しかも二十一カ条要求については、しょせん、我においてこれを弁疎せんとすることすら実は野暮なり。我いうところ、多くはspecial pleadingにして、他人も強盗を働けることありとて自己の所為の必ずしも咎むべからざるを主張せんとするは畢竟窮余の辞なり」

 松岡の主張は要するにこういうことです。いわゆる二十一カ条要求は日本が弁明すればするほど不利になるだけ、そもそも山東問題と二十一カ条要求と切り離して論ずることは無理、日本が弁明するのは無駄なこと、日本の主張は、しょせん、泥棒したのは自分だけではないと言って自分の罪を免責しようとする弁明に過ぎず、まるで説得力がない

 Special pleadingというのは、「特別訴答」と言われる法律用語です、法律的には「相手側の主張を無効にするため個別的理由をつけて行う訴答」の意味とされていますが、自分に不利なことを棚上げにした手前勝手な議論を指す言葉としても用いられます、ここでは,自己に有利なことのみを述べる一方的議論、という口語的な意味でつかわれています

 以上、知ったかぶりして書きましたが、松岡洋右についての記述は加藤陽子著「それでも日本人は《戦争》を選んだ」からの無断借用であります

 この松岡洋右の言葉を知って、GGI、そういえば先の大戦における日本の数々の不始末について、わが日本だけが悪い事をしたんじゃないよ、と恥ずかしげもなく「特別訴答」を行う政治家やその同調者が最近はなんと多いことかと思ってしまいました

 何かワルサをした生徒が先生に叱られて、「ボクだけじゃありません、○○君も同じワルイこと、やってま~す」とみっともない言いわけをするのが特別訴答であります、

 また、特別訴答に限りなく近い、ヘタなヘリクツをこねる政治家もいます、たとえばアベ君は「侵略戦争の定義は定かでない」なんて言っておりますけれが、彼のこの発言も限りなく特別訴答に近いものです、しかしながら、戦争についてまっとうなことを言っていた総理大臣おもいるのです

 たとえば、満州事変が起きたとき外相を務めており、敗戦直後、新憲法制定に際してGHQとの折衝にあたりGHG案の受け入れを閣議決定した時の首相、幣原喜重郎は、満州事変で暴走する関東軍を止めることができなかったことを悔いて次のように言っています

 「自衛戦争の名において、いかに多くの侵略戦争が行われたことか。どこの国が、自国は侵略戦争をすると言うであろうか」(入江俊郎「幣原さんと戦争放棄」)

 以上の内容もこれまた無断借用、4月17日づけ朝日(夕刊)の連載記事「新聞と9条」からの引用です

 政治家のみなさん、その他、歴史認識について論じたり、お考えになっているみなさま、どうか恥ずかしげもなく、みっともない特別訴答なんかを行ったりしないよう、くれぐれも心してくださいませ

えっ、何ですか?そんなエラソーなこと言って、GGIよ、おまえこそ毎日々々、何でもかんでも特別訴答を行っているんじゃないのか、とおっしゃるんですか?・・・・まあ、そういうことは、・・・私のことはともかく・・・それはそれとしてですねぇ・・・

 今日の写真は特別訴答とはなんの関係もありませぬが、よろしければクリックしてご覧くださいませ、わが庵、サザーンガーデンに侵攻する隣家の若葉軍団です

 グッドナイト・グッドラック!