十月初めの某日、朝七時を過ぎたころ自然がGGIを呼んでおりましてので、ベッドから出て用をたしました、夜更かし朝寝坊のGGI、まだ早いなあ、もうひと寝入りなどと思っておりましら、庭の方から何か小さな声がいたします
どうやらGGIを呼んでいるようです、誰だろう、こんな時刻にと思いながら窓を開けて朝の光が射しているわがサザーンガーデンを見てみましたら、芙蓉の花がGGIのほうに向いて何か言っております
「GGIさん、GGIさん、おはようございます、まだお休みですか、私です、芙蓉の花です」
今夜の写真は朝の光のなかでGGIに話しかける芙蓉さんの麗しき姿であります、よろしければ写真をクリックしてご覧くださいませ
「おはようございます、GGIさん、すこし早すぎたかしら?」
「おはよう、誰かと思ったら芙蓉さんか、早すぎるどころの騒ぎではありません、いったいどうしたのですか?」
「ごめんなさい、でもちょっとご挨拶をいたしたいと思いまして・・・」
「御挨拶って、いったいどうしたのですか?」
「お礼を申し上げたいのです」
「お礼って?私はお礼を言われるようなことを何もあなたにしていないけどなあ・・・」
「まあ!ご謙遜を・・・今年も八月の初めからふた月ばかりほんとうにお邪魔しました、GGIさまが私たちのために余計なことを何もなさらなかったおかげで、私たちは夏から秋にかけて、名もなき草々と木々の緑に取り囲まれながら、思う存分、自由に、元気一杯に咲くことができました、ほんとうにありがとうございます、あらためて心より感謝申しあげます」
「いやお礼をおっしゃるには及びません、でも、庭の手入れをせずにほったらかしにしておいて感謝されるなんて、まことにお恥ずかしい限りです・・・」
「そんなことございませんわ、心優しきGGIさまのおかげて永らく自由気ままに咲かせていただいたのですが、もうそろそろ私たちの季節は終わりです、ですから、今日お別れの御挨拶をと思ったのです」
「そうですか、まことに恐縮です、でも君たちがいなくなると、この庭も寂しくなるなあ、残念だなあ・・・」
「私たちはGGIさんのおかげで自由に楽しい一生を過ごして、やがて生を終えます、でも来年の夏には、私たちの娘たちがまたお邪魔いたします、それまで、GGIさん、どうか元気でいてくださいね」
「ありがとう、でも来年になるとGGIはいよいよ後期高齢者目前、果たして元気でいられるかどうか・・・この頃はしょっちゅう喘息の発作も出るしなあ・・・」
「おタバコとお酒、おやめになったら喘息なんてすぐに治ってしまいますわ、わたしたち芙蓉の花に来年も会えるように、おやめになってくださいね」
「芙蓉の花のために禁酒禁煙かあ・・なかなかロマンチックだけれどなあ・・」
かようなしだいで、もう芙蓉の花はすっかり散ってしまいました、花も散り、いよいよおセンチな秋になっていくなあなどと思いながらんやり庭を眺めておりましたら、「幻の花」という詩が心に浮かびました、毎年秋になって花が散るころになると思いだす詩です、石垣りんという詩人の作品です、これまでにこのブログで一度紹介したことがあるのですが再登場です
幻の花
庭に
今年の菊が咲いた。
子供のとき、
季節は目の前に
ひとつしか展開しなかった。
今は見える
去年の菊。
おととしの菊。
十年前の菊。
遠くから
幻の花たちがあらわれ
今年の花を
連れ去ろうとしているのが見える。
ああこの菊も!
そうして別れる
私もまた何かの手に引かれて。
石垣りんさんはときおり恐ろしい詩を書く、とても優れた詩人でありました、この詩が年々歳々、よる年波とともにGGIの身に沁みるのであります
グッドナイト・グッドラック!