■ 過日、藤村記念館を駆け足で見学しました。
冠木門の正面、建築家谷口吉郎によって設計された白壁がまず目に入ります。その右手にある回廊と共に第一回日本建築学会賞を受賞したと案内看板にありました。優れた空間構成だと思います。
島崎藤村は明治5年、馬籠宿の本陣に生まれました。建物は明治28年の大火でほとんど消失し、唯一残ったのがこの隠居所だ、とパンフレットで知りましたが手前の樹に隠れてよく見えませんね。説明写真としてはNGですが他に無いので載せておきます。 藤村は少年時代にここの2階で父親から四書五経の素読を受けたこともパンフレットに載っています。
『夜明け前』を読む前にここを訪れていたら、イメージしやすい描写もあったかも知れません。でもこの長篇小説を再読する気力は今のところありません。
藤村記念館のある馬籠宿は大火でほとんど消失してしまい、後年復元しのだそうです。隣りの妻籠宿と比べると確かに古さをあまり感じませんが急な坂道の両側に形成されている宿場という、この場所固有の地形条件によって変化のある魅力的な空間になっています。
この宿場の建築はここに注目、ということで上の2枚の写真を載せておきます。2階の床梁を2、3尺持ち出してその先に梁を載せる出し桁造りです。
宿場のはずれで目にした住宅です。建築されてからまだそれ程年数は経っていないと思いますが、宿場の建築のデザインをうまく取り込んでいて既存の古い建築との間に違和感は感じません。伝統的な建築群の中につくる新しい建築のあり様を示す好例だと思います。
玄関の大戸の中に設えた潜り戸、目板葺きの庇や梁から吊るされているコードペンダントなどなかなか渋いデザインです。
紫陽花と石畳 馬籠宿にて
思い出しました。
馬篭の民家には押し入れが無いのです。
それは火事の時、家財道具をすぐに持ち出せるようにとの事です。
やっぱり大火を経験してる地区ですね。
押入れが無い! なるほど、そうなんだ。
ところで、次はいつにする?