■ 日曜日の朝刊には読書欄があって、書評が何編も載る。今日の朝刊(信濃毎日新聞)で藤森照信さんの『ツバキ城築城記』日経PB社を建築家の石山修武さんが書評していた。
藤森さんはデビュー作から一貫して自然素材を使いつづけている。どこか懐かしい雰囲気の漂う作品を、嫌いと言う人は少ないのではないだろうか。それは自然素材の持つ力、魅力によるものだ、と思う。
本書のツバキ城は伊豆大島にもう何年も前に「築城された」酒屋だ。確かなまこ壁の目地が芝だった。表紙のように方形の屋根も芝、てっぺんにはツバキが1本植えられている。随分青々としていて赤い花が数輪咲いている。
藤森さんは自邸の屋根にタンポポを植えたし、作家で「老人力」という言葉をつくった赤瀬川さん家(ち)の屋根にはニラを植えた。屋根に植物を植えるという発想は民家に見られた「芝棟」という棟納めから来ているらしい。
芝棟「民家 昔の記録」再載
さて、石山さんの書評。
**本当は藤森の考えは、普遍化モデルに収束していく近代的思考、つまりグローバリぜーションにとっては異物である。しかし排除の力は働こうとしない。なぜか。それは藤森の思考が、建築の祝祭性への民衆の願望を代弁しているからだ。** このくだり、石山さんは真面目にそして的確に藤森さんの建築観、建築作品を評している。
**「カッカッカ、ザマミロ、イシヤマ」とまで書かれた私だって黙っていないぞ。今年、出現する私の建築を見て、その論を読んだら、オマエ泣くぞ。悲嘆にくれる姿が目に見えるようだ。** ふたりは盟友。この書評の結びがいかにも石山さんらしくて、いい。早速、この本を注文しよう。
勉強になりました。
もしかしたら今まで草が生えていると見ていた屋根の中には、この芝棟もあったのかも知れません。
イヤ~、建築は奥が深いですね。
そう、建築って領域も広いし、奥も深いですね。芝棟については既に書きましたが、近々再度紹介します。
ほお葉巻でこのブログを紹介していただきました。感謝します。