透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「脳の風景」

2012-01-22 | A 読書日記



 『脳の風景 「かたち」を読む脳科学』藤田一郎/筑摩選書 を読んだ。脳の内部の様子をいろんな方法で可視化して、その形や模様、つまり「脳の風景」を観察することで脳の機能を解明するという「脳科学」を紹介した本。

脳は複雑だ。だが、決して無秩序な構造ではない。

本書には初めに、ネズミの個々の洞毛(センサーのはたらきをしているほおひげ)に対応するバレル皮質が大脳皮質領野にあることが紹介されている。興味深いのは個々の洞毛とバレル皮質とがトポロジカルな関係を保持しているということだ。体表のひげの配置が脳の中のバレルの配置にそのまま(と書けば誤解されるかもしれないが)再現されているのだ。この「体部位再現」はヒトの大脳皮質でもされているという。

本の帯に「まるで現代アート!?」とあるが、マウスのバレル皮質を染めて出現した模様やヒトの側頭葉の錐体細胞、虹のように彩られたマウスの海馬などのカラー写真が載っている。

可視化されたはるか彼方の宇宙の様子も美しいが、これら口絵の写真も神秘的で美しい。造物主はマクロからミクロな世界まで、その造形には美に対するこだわりがあったのだろう・・・。


 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。