透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ブックレビュー 1702

2017-03-02 | A ブックレビュー

2月に読んだ4冊の本の備忘録。


『江戸の都市力 ―地形と経済で読みとく』鈴木浩三/ちくま新書

本書に示された古い地図には新橋が江戸前島と呼ばれた江戸湾に突き出た半島状の土地の先端の位置にあたることや、その西側は日比谷入江と呼ばれた湾だったことが示されている。このような地形を巧みに活かしてつくられたハード面での江戸のまち。参勤交代というソフト面でのシステムがが生み出した人や物の流れ。

**江戸の歴史を地理、経済、土木、社会問題など多視点から見ていくことにより、その本質、発展の秘密に迫る一冊である。**(カバー折り返しの紹介文)



『関東大震災』吉村 昭/文春文庫

大地震に襲われた関東地方では大火災にみまわれ、多くの焼死者を出した。その後飛び交った流言によって、多くの人命が奪われるという悲劇が繰り返された。綿密な取材に基づいて描かれる天災とその後の人災。



天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災』磯田道史/中公新書

この国は災害列島だ。はるか昔から幾度となく地震や津波に襲われ、甚大な被害を被ってきた。本書で磯田さんは全国各地に残された史料を読み込んで、例えば天正地震のとき戦国武将がどう対応したか、伏見地震のときはどうであったか、を分かりやすく解説し、そこから今に活かせる教訓を示している。



『天守再現!江戸城のすべて』三浦正幸監修/宝島SUGOI文庫

書名は「江戸城のすべて」となっているが、各地の名城がCGや立面図・断面図、写真などにより、分かりやすく紹介されている。興味深い内容。