透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「間宮林蔵・探検家一代」

2009-03-22 | A 読書日記


■『間宮林蔵・探検家一代 海峡発見と北方民族』高橋大輔/中公新書クラレ

江戸後期にはまだ、大陸と陸続きの半島なのか島なのかはっきりしていなかった樺太、サハリン。間宮林蔵はそこが島であることを確認し、海峡に名前を残した。そのくらいしか知らなかった・・・。

厳寒の地への二度の探検はどのようなものだったのか、どんな生涯を送った人だったのか。

著者の高橋さんもまた、間宮林蔵探検の地に二度の探検を試みている。そして間宮林蔵の探検が成功した理由を見出す。それは**言葉も文化も異なる人々が彼の力になってやろうと思うほど、彼は異国の社会に馴染んだ。**ということだった。

生涯独身を通したといわれる間宮林蔵だが北海道に末裔がいるという。間宮林蔵はアイヌ女性と結婚していたというのだ。第六章「血族」にそのことが出てくる。

シーボルトが日本から持ち出したという間宮林蔵直筆の地図がカラーで紹介されていて興味深い。樺太の北半分やアムール川(黒龍江)はあまり形が正確ではないが、間宮林蔵の探検が困難を極めたことがそこに表れているように思う。




吉村昭が小説を書いていた。絶版になっていないといいのだが・・・。




春の馬籠

2009-03-22 | A あれこれ

「夜明け前」の舞台、馬籠に梅が咲くころ出かけようとY君に声をかけていた。

20日、木曽路を南へ、馬籠へ。参加したのは前回の酔族会の2次会で1杯のワンタンメンを分けあった3人。

途中、贄川で日本でたったふたつしかない郵便ポスト(←過去ログ)を同行の2人に紹介。日義で中山道の中間点の石碑を見る。南木曽町で桃介橋を渡ってみる(前々稿)。



春の馬籠、満開の梅の花。



昼に食べたそばにのっていたふきのとうの天ぷら。田舎の味、素朴な味。ふきのとうの苦味の成分には新陳代謝促進、肝機能強化、疲労回復などの効果があると今朝の新聞に紹介されていた。

馬籠宿は山の尾根の急斜面にある。石垣を積んで平らに造成した敷地に木造2階建て平入りの建物が並ぶ。建物の切れ間から残雪の恵那山を間近に望む。





藤村記念館を見学する。馬籠宿の建物は明治と大正の大火で焼失。本陣で唯一残った隠居所。南向きの日当りのいい2階の部屋の雛飾り。

展示室で藤村の原稿や蔵書、家族の写真などを興味深く見る。

裏手の小高い丘に建つ永昌寺に藤村の墓を訪ねる。父親や夭折した娘たちの墓石、そして島崎春樹と彫られた墓石にそっと手を合わせる。



帰りに奈良井宿に立ち寄る。藤村ゆかりの旅籠、徳利屋(←過去ログ)でお茶でもと思ったが、既に閉店。残念。川上弘美の小説と同じ名前(ただしこちらは「ふうか」)のカフェでフレンチな軽食。美味。

ああ、うららかな春の木曽路だった。