透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「禅僧とめぐる京の名庭」

2009-03-10 | A 読書日記


『日本の庭園 造景の技とこころ』進土五十八/中公新書で全国の名園三十六景の特徴を、続いて『日本庭園―空間の美の歴史』小野健吉/岩波新書では日本庭園の歴史をザックリと押えた。

そして『禅僧とめぐる京の名庭』枡野俊明/アスキー新書で京都の庭園二十一景についての解説を読んだ。

まえがきに**それぞれの庭園の見方やデザイン的意図、その寺院の歴史などの知識を持って、これらの庭園を鑑賞することができれば、庭園を眺める楽しみは倍増することになります。**とこの本の出版意図を書いておられる。NHKの美の壺と同じコンセプト、庭園鑑賞マニュアル。

**禅僧として、そして日頃日本庭園のデザインをし、現場で指導をしている筆者が、単なる庭園研究者や評論家にはできない、禅と庭園との関係性や庭園から読み取った作庭意図をやさしく解説し、二一の禅寺の庭を紹介しました。**書いているが、ここにこの本の筆者の自信がにじみ出ている。

確かに実に簡潔、そして明解な解説だ。取り上げている庭園の平面図が付いていて、方丈と庭園との関係や空間構成が理解しやすい。

方丈については『日本庭園』では**方丈建築の通例どおりの南面する前後二列各三室の六室の構成で、後列東端の書院は(後略)**のような説明がなされているが、分かりにくい。

それに対してこの本では一般的な方丈の平面図が載っているし、**方丈建築における部屋の構成は、通常、三行二列、つまり、南側に三室、北側に三室を配した合計六室からなります。南側の三部屋は、公的な機能を果たす「晴(はれ)」の空間として扱われます。(後略)**と数頁にわたって分かりやすく説明している。

南禅寺の方丈庭園は虎の子渡しの庭とも呼ばれているが、その内容の詳細な解説に、なるほど!!だった。

あるいはこの二冊で想定してる読者層が違うのかもしれない。

京都の庭園を訪ねたい・・・。