さて、80年前後の熊本県民の刺身物の好みは、ハッキリしていました。
やはり、天草の方々の影響もあるのでしょうか?
柔らかい刺身は、評価されませんでした。
例えば、マグロの赤身や鰹ですネ。
今は、県民の好みもずいぶん変わったようですが。
評価される刺身は、基本的に、シコシコ感 ・ コリコリ感があるものでした。
つまり、活け物です。
歯ごたえがある魚じゃあないと、馬鹿にされます。
ホタテの貝柱の刺し身もそうです。
当時は、まだ有明海の立貝がぎょうさん採れてました。
その貝柱の咀嚼感の素晴らしさには、ホタテでは太刀打ち出来ない物がありました。
そんなこだわり熊本県民の好みは、ピチピチ天然の活け白身魚でした。
真鯛やヒラメに代表されるものです。
しかし、値段も高額な物でした。
そんな時、偶然手に入れた真コチ。
足を運びさえすれば、安価で手に入いります。
その真コチは、不思議な魚です。
活けモノのシコシコ感は相当なものの、変な箇所があるのです。
肩口の身だけは、 “ 柔らかい ” のです。
つまり、この部分は、熊本県民にウケが悪い。
そこで、ヒゲは考えた。
例えば、このコチの片身全部を一皿の刺し身にします。
すると、やがて、客は不思議な顔になるハズ。
柔らかいのと、歯ごたえのあるのが、混在しているからです。
その後、客は疑います。
柔らかい劣化した刺し身を混ぜて、 俺達に出しているんじゃなかろうか?
無用な誤解を避けるために考えたのが、 “ 李下に冠を正さず ” です。
そんな誤解を受ける様な柔らかい部位は、最初から使わない!
つまり、冠がある頭の方には、手を延ばさないという訳です。
県民好みの “ コリコリ・シコシコ感 ” のある “ 受けの良いところだけ ” を
使おうと、決めたのです。
もちろん、肩口の身をホカスなんて事はしません。
刺し身として使わないだけで、揚げ物や蒸し物には文句なしですから。
普通は、こんな極端な方法は演りません。 原価率にもさわります。
例えば、ヒラメみたいに高価な魚なら、100%使う事を考えます。
しかし、この真コチは、300円で手に入れたもの。
“ 一番良い部分だけ ” を使っても、惜しいものではありません。
下手に惜しんで残ってしまうなら、何の意味もないからです。
~~~ つづく ~~~
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柔らかい刺身は、評価されませんでした。
例えば、マグロの赤身や鰹ですネ。
今は、県民の好みもずいぶん変わったようですが。
評価される刺身は、基本的に、シコシコ感 ・ コリコリ感があるものでした。
つまり、活け物です。
歯ごたえがある魚じゃあないと、馬鹿にされます。
ホタテの貝柱の刺し身もそうです。
当時は、まだ有明海の立貝がぎょうさん採れてました。
その貝柱の咀嚼感の素晴らしさには、ホタテでは太刀打ち出来ない物がありました。
そんなこだわり熊本県民の好みは、ピチピチ天然の活け白身魚でした。
真鯛やヒラメに代表されるものです。
しかし、値段も高額な物でした。
そんな時、偶然手に入れた真コチ。
足を運びさえすれば、安価で手に入いります。
その真コチは、不思議な魚です。
活けモノのシコシコ感は相当なものの、変な箇所があるのです。
肩口の身だけは、 “ 柔らかい ” のです。
つまり、この部分は、熊本県民にウケが悪い。
そこで、ヒゲは考えた。
例えば、このコチの片身全部を一皿の刺し身にします。
すると、やがて、客は不思議な顔になるハズ。
柔らかいのと、歯ごたえのあるのが、混在しているからです。
その後、客は疑います。
柔らかい劣化した刺し身を混ぜて、 俺達に出しているんじゃなかろうか?
無用な誤解を避けるために考えたのが、 “ 李下に冠を正さず ” です。
そんな誤解を受ける様な柔らかい部位は、最初から使わない!
つまり、冠がある頭の方には、手を延ばさないという訳です。
県民好みの “ コリコリ・シコシコ感 ” のある “ 受けの良いところだけ ” を
使おうと、決めたのです。
もちろん、肩口の身をホカスなんて事はしません。
刺し身として使わないだけで、揚げ物や蒸し物には文句なしですから。
普通は、こんな極端な方法は演りません。 原価率にもさわります。
例えば、ヒラメみたいに高価な魚なら、100%使う事を考えます。
しかし、この真コチは、300円で手に入れたもの。
“ 一番良い部分だけ ” を使っても、惜しいものではありません。
下手に惜しんで残ってしまうなら、何の意味もないからです。
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