Ommo's

古い曲が気になる

真夜中のカウボーイ

2009-09-04 | 日記・エッセイ・コラム

Midnightcowboy

「真夜中のカーボーイ」は、ジョン・ボイトとダスティン・ホフマン主演の1969年の映画だが、そのまえに原作の小説がヒットしていた。

ジェームス・レオ・ハーリヒの小説、Midnight Cowboy が出版されたのは、1965年のことだ。1967年だったろうか、日本でも、早川書房から翻訳がでていた。しかし、わたしは読んでなかった。その小説の存在すら知らなかった。

                

「真夜中のカウボーイって、おもしろいね」 そのころ、猛烈に好きだった年上の女の人が、いった。
「え? 」 わたしは、まったく意味がわからなかった。真夜中のカウボーイ? 夜中にカウボーイが、なにをするんだ? 真夜中には……カウボーイは、寝てるだろ。わたしは、ローハイドのクリント・イーストウッドをイメージしていた。

Retrorawhide

 

それが、アメリカでベストセラーになった小説で、最近日本で翻訳されて、出版された、と教えられた。「映画になるわ。いま、撮影してて、『卒業』のダスティン・ホフマンが主演みたい」

わたしは、その女の人に、ビートルズの曲を漫画で表現して、毎日、ハガキに書いて送っていた。おかげでビートルズの歌詞にずいぶんくわしくなった。そのビートルズ効果か、夜、ジャズ喫茶の「司」で待ちあわせたり、休みの日に、彼女の運転で(わたしは免許をもってなかった)、十勝太の海までドライブしたりするようになった。

そんなある夜、いっしょに歩いていると、突然、「わたし、お見合いしたの」と、彼女がいった。「9月に結婚することにしたの」

「あ、そうなんだ……」

こうして、わたしは、みごとにふられたのだった。にがいビートルズだ。

               

サガラ音楽堂さんの「真夜中のカーボーイ」の記事を読んでいて、思い出したくなかった古傷がうずいた。『青春だったな』

映画の邦題は、「~カーボーイ」となっているが、小説のタイトルは、「~カウボーイ」だ。

カウボーイのファッションは、マッチョで、都会の女にうけるだろう、と、テキサスの田舎からニューヨークにでてきて、男娼をやるジョン・ボイト。身障者で、ホームレスのダスティン・ホフマン。大都会の最底辺の、貧しいふたりの青年のみじめさと、せつなさを、ジョン・バリー作曲のテーマは、みごとに表現していて、悲しい。

     ジョン・バリー Midnight Cowboy Theme http://www.youtube.com/watch?v=ZGORPUzLxtU

              ニルソン 「噂の男」 http://www.youtube.com/watch?v=2AzEY6ZqkuE&feature=related


真夜中の母さん

2009-09-04 | 日記・エッセイ・コラム

1082 イチョウの実、銀杏(ぎんなん)

真夜中の12時ちかく、歩きたくなって、近所の稲荷神社まででかけた。照明があっても薄暗い境内の、イチョウの木に、たくさんの実がみえる。銀杏(ぎんなん)だ。

また、秋か。この巨木の、ぎんなんの実をみたのは、すこしまえのような気がする……一年が過ぎるのは、なんと速いことか。

帰り道、スーパーで安ワインを買った。まだ地下鉄は、終電ではない。勤め帰りの若い人たちが、駅からどっとでて、自宅に帰っていく。スーパーもコンビニも、お客がたくさんいる。午前0時だが、北海道・帯広の昼の繁華街より、はるかに人通りは多い。

(数年まえ、ひさしぶりに帯広に帰った。人が歩いてない。メインストリートの西2条通りに、ショックをうけた。この静けさは、なんだ? )

部屋のちかくまで来ると、赤ん坊を背負ってあやしている若い母親がいた。きっと、向かいのマンションの住人だろう。

ここのところ毎晩、真夜中に、まさに火がついたように泣く赤ん坊がいる。病気か? ひどい泣き声だ。長いな! いつまでつづくんだ。虐待か? 警察をよぶべきか? と思っているうちに、泣き声は聞こえなくなった。それが、毎晩のようにつづいていた。

泣きやんでいたのは、母親が、こんな真夜中に、外で、おんぶしてあやしていたのか。

『おれも、おしめ付けて、たれながしのガキのとき、母さんに、こうしてあやしてもらったんだろうな』